第8章 双子岬とアイランドクジラ・ラブーン
グランドライン入るには山を登るしかない。しかしここである疑問がゾロの頭を過る。
「だか、何でわざわざ入り口から入る必要があるんだ?南へ下れば何処からでも入れるだろ。」
「入口から入った方が気持ちいいだろ!」
「…違うわよ。」
馬鹿だなぁとさも当たり前の様にふんっと鼻を鳴らすルフィに花子は呆れた顔で否定する。
「他の場所から入ると…っ?!」
「どうした?花子?」
「何だ?嵐がやんだぞ!?」
何かに気付き花子が慌てた様子で部屋を飛び出した。ルフィ達も彼女に続いて外に出てみると先程の嵐が嘘の様に止み穏やかになっている。
「…まずいわ。」
ポツリと呟いた花子は顔を引き攣らせ不思議そうに見上げるユラを抱き上げた。
「カームベルト…。」
「カームベルト?」
「嘘っ?!」
聞いた事の無い言葉にルフィ達は首を傾げるもナミだけは顔を青くさせ慌てて彼等に振り返った。
「あんた達!早く船を漕いで、嵐の軌道に戻るわよ!」
「おいおい、何言ってんだよ。」
「何でわざわざ嵐なんかに。」
先程話した通り今ルフィ達は南に流されてしまった。だったらこのままグランドラインに入れば良いのだが、事態はそう上手くいく程甘くはない。
「うぉ!何だ?!」
「おぉ!凄い揺れてるぞ!?」
突然、船体が大きく揺れた。カームベルト。その名の通り無風海域であるこの海域は嵐1つ無く穏やかな海なのだが…。
「海王類の巣なの…しかも、大型の…。」
涙を流し説明するナミをよそに目の前に現れた大型の海王類は悠然と海を泳いでいた。
「いっいいか!こいつが海に帰ったら船を漕ぐぞ!」
「「「おっおう!」」」
もし今、襲われたらメリー号は一溜まりもないだろう。海王類達を刺激しない様息を潜めオールの準備をしていると。
「うぉっ?!」
「なにぃぃ~?!」
1頭の海王類のくしゃみによってメリー号は吹き飛ばされた。途中ウソップが船から投げ出されると言う惨事に見舞われたが、ルフィが無事回収し運が良いのか悪いのかメリー号はまた嵐の中に逆戻りした。
「…これで分かった?入口から入るわけ。」
「あぁ…良く分かった…。」
方法はこれしか無いのだと言い聞かせる花子に項垂れるルフィ達は大きく頷いた。