第5章 ももいろのちかい【桃】
そしてこれまた急いでくろばの寝室へと戻り、再びベッドの中でくろばをすぐさま抱き締めた。
「くろば?ただいま…」
「…ん、おかえり」
…カハッ!!
俺的くろばの萌える短文シリーズ。
"おかわり"に続いてランクイン決定の。
"おかえり"
しかも今回はベッドの中というのもポイントが高い。
「ほらくろば、水」
そう言ってくろばにペットボトルを渡そうとしたのだが、それを受け取ってくれる様子はない。
「…さとみが飲まして?」
「へ?」
「…お願い」
「…わ、わっかりました」
この方法で合っているのかは分からないが、ペットボトルの水をとりあえず口に含んでみた。
するとくろばが再び俺を抱き寄せて唇を寄せてきた。
それに応えると、俺の咥内に入っていた水が、くろばの咥内へと流れ込む。
「…ん、おいし」
「…もっと飲む?」
そんなくろばに気をよくした俺は、もう一度口移しをしたいと訴えてみた。
「…うん、もっとちょうだい」
そのくろばの言葉を聞いたのと同時に、俺はペットボトルの水を一気に口の中に含んだ。
そして少し乱暴にくろばと唇を重ねると、少し吐息を漏らしながら、俺の咥内へとから流される水をくろばがゴクリと飲み干した。
「けほっ…!けほっけほっ」
「ご、ゴメンくろばっ」
「んーん、大丈夫…」
そう言ったくろばの口の端が、飲み干せなかった水のせいでキラリと光を放っていた。
そんなくろばを見て、昨日の行為中のくろばが頭に浮かぶ。
いやいや、鎮まれ、もう一人の俺よ。
「くろば、ここ垂れてる…」
そうは思いつつも、くろばの口端をペロリと舐めた。
「…ん、ありがとさとみ」
「いーえ…」
ああ。
もうマジで可愛い。
「ね、くろば」
「…ん?」
「これ、夢じゃないよね…?」
「へ?」
あまりにも幸せ過ぎて、さっきまでのくろばとの行為から今の今まで、全部夢だったのではないかと錯覚してしまった。