第5章 ももいろのちかい【桃】
んでもってくろばと同棲し始めてから、仕事へのモチベーションがガンガン上がってきている気がする。
すとぷりも五周年を迎えて、チャンネル登録者数も順調に伸びている。
メディア露出への仕事も増えてきた。
え、くろばってやっぱ俺の女神じゃん。
「…なーに変な事考えてんの?」
「へ?」
「顔。今だるんだるんだったよ?」
だ、だるんだるんって。
「失礼な。筋トレ始めてからむしろシュッとしたんだぞ」
「確かに、前よりカッコイイもん」
「へ」
ま、マジで…?
俺、カッコイイ?
「あ、また顔がだるんだるん」
「ハァッ…!?」
「アハハハハ!じゃ、仕事頑張ってね」
そう言って浴室の方へと向かうくろば。
トレーニングを終えて汗を流しにいったのだろう。
コノヤロウ…
お風呂覗きに行ったたろかい!?
もちろん、そう思った事は何度もあり、何度も実践してみようとしたのだが、これもまたくろばの機嫌が心底悪くなるため、これもまた最近はしないようにしている。
だけど、たまには一緒に風呂入りてーな…
んでもって、湯船の中でイチャイチャしたり、体洗いっことかしたい…
「さとみ…」
「んあ!?」
「…んーん、何でもない」
浴室に向かったハズなのに、わざわざ戻ってきたくろば。
俺の思考がくろばにはダダ漏れなのか、くろばのジトッとした視線を浴びながら、飲み物を持って粛々と自分の作業部屋に向かったのだった。
動画を撮ったり編集をしたりして、あっという間に夕方になった。
同じ姿勢のまま作業をしていたせいで体がバキバキだ。
ふと、くろばの顔が頭に浮かんだ。
ちょっとくろばの充電でもしてくるか。
今日はくろばは仕事をする日ではない。
だからいつでもくろばに構って良い日だ!
そうは言ったものの、くろばの部屋のドアを一応ノックしてみる。
「くろばー?」
返事がない。
「…お邪魔しますよーっと」
そろりとドアを開けて部屋に入ると、くろばは再びベッドで寝息を立てていた。