第5章 ももいろのちかい【桃】
「ほらくろばさん、さっさと起きないと襲われちゃいますよー…」
「…ヤダ、眠い」
「飯どうすんの?」
「…さとみのご飯は食べる」
…可愛すぎかよ。
こんな可愛い生き物、世界中の何処探したって居ねぇわ。
「ほら。じゃあ起きろ〜…」
とは言いつつ、今度はくろばの太ももに手を這わせる。
「んぁっ…」
おいおいこんなんで喘ぐなよ。
ちょっとだけのつもりが、最後までしたくなっちゃうでしょーがッ…!
「ほうら、起きて下さいくろばさーん…」
「ん、分かった…分かったからどいて」
よし、やっと起きたか。
けど…
「もうちょっとだけ…」
そう呟きながら再びくろばの太ももを撫で、キスをしようと顔を近付ける。
だが、それはくろばの手で制止され叶わなかった。
「…チューはダメ、歯磨きしてないから」
「別に俺は気にしないっていつも言ってんのに…」
「…私が気にするの。ほら、もう起きたし、着替えるから出てって?」
「なんだよ、別に俺の前で着替えりゃ良いじゃ…」
「さとみ…?」
「はーい、リビングで待ってまぁーす」
くろばは寝起きにチューをさせてくれない。
まだ微睡んでいる時ならなんとか可能ではあるが、その後とんでもなく機嫌が悪くなるので、あまりしないようにしている。
それにくろばは、自分が着替えている姿もあまり見せてはくれない。
めっちゃ見たいのに…
彼女の着替えてる姿とか良いよな。
俺の着替えはいつも見てるくせにズルくね?
今度くろばに申し立ててみよう。
そんな事を考えながら再びにリビングに戻り飯の準備をしていると、着替えをすましたくろばがリビングにやって来た。
「おはよ、さとみ」
「ん、おはよ」
そう言ってくろばの所まで寄ってキスをしたが、今度は拒否されなかった。
おそらく歯を磨いた後だからだろう。
「起こしてくれてありがとね」
「いんや別に。くろばの寝起き超可愛いから全然おっけー」
「そうなの?それはありがたいね」
そう言ってクスッと笑うくろば。
ああ、今度はセクシーなくろばにジョブチェンジしている。
俺の彼女今日も最高。
「わ。今日も美味しそう」
「ん。じゃあ手を合わせて…」
「「いただきます」」