第5章 ももいろのちかい【桃】
「お〜いくろば〜!!メシ出来たぞォ〜!!」
朝食を作り終え、二階で寝ている彼女の部屋に向かって大声で叫ぶ。
「ったく。しょうがねぇんだからよ〜♪」
言葉とは裏腹に思わず鼻歌を歌ってしまう。
くろばを起こしに行くのが楽しみだからだ。
なんでかって?
それは…
「おーいくろば、朝だぞ〜」
「…ん」
俺のさっきの声で目は覚ましたものの、まだ布団の中にくるまっているくろば。
「ほら、起きろって。飯いらねぇの?」
「…ぃる」
そうくろばが寝起きの小さな声で答える。
か、可愛い…!
いや、くろばの見た目は色気ダダ漏れのセクシー系。
だけど、こんな風に朝が弱いくろばの寝起きは可愛い系なのだ。
こんな二つの魅力を同時に持っているなんて、しかもそれを身近で楽しめてる俺と俺の彼女最高じゃね?
世界中に自慢してやりてぇわ。
ま、んなこたしないけど。
くろばの可愛い所は、俺だけが知ってれば良い。
「おいくろば、そろそろ起きないと布団捲るぞー」
「…んー」
肯定なのか否定なのか。
ちゃんと俺の語尾マネしてるし。
「じゃ、遠慮なくっ…!」
ブワッとくろばの包まっている布団を剥ぎ取ると、上には俺のお古のパジャマを、下は下着のみのくろばが体を縮こませていた。
くろばの大事な所が見えるか見えないかぐらいのギリギリの神ラインで、くろばの生脚が露わになっている。
「…おい、くろば。起きろって」
「…さ、寒」
「…じゃあ下履きゃいーだろ」
「…寝てる時うっとおしいから」
一瞬俺に言われたのかと思いドキッとしたが、昨日くろばは夜遅くまで自分の仕事の作業に没頭していた。
だから決して俺の事を言っているワケではない。
「そんなに足出してっとイタズラすんぞ」
「…ぃや」
はい、イタズラ決定。
これだからくろばを起こすのはやめらんねーんだわ。
なんだよ"ぃや"って。
全然嫌がってねぇじゃねぇか!
くろばに覆い被さるようにベッドに乗り、くろばの首筋に軽くキスを落とす。
くろばから小さく声が漏れた。
あー、やっばい。