第4章 きいろのとびら【黄】
「くろば?何ボーッとしてんの?行こ、ほら」
そう言いながら、るぅとが扉を支えながら手を引いてくれた。
なんか、久々に会ったからっていうのもあって…
いつもより、今日は特にるぅとがカッコよく見える。
そんな事を考えながらカフェを出て二人で私の家に向かって歩いていると、るぅとが少し気まずそうに口を開いた。
「…ねえくろば、今日なんかおかしくない?」
「へ?」
「…僕の家、そんなに行きたかった?」
あ。
そういえば、そんな話を最初にしていた気がする。
私の家にるぅとが遊びに来てくれるのが嬉しくて、もうそんな事すっかり忘れててしまっていた…
「う、ううん。それはまた今度で良いよ!」
「本当…?」
「うん!」
何故かるぅとが心配そうに私を見つめている。
そんなるぅとも可愛いと思ってしまうのは、きっと私だけではないハズ。
いや、私がこんなるぅとも独り占めしたい。
「なんでそんなに聞くの?」
「いや、まあ、即答でダメって言っちゃったし、もし僕がくろばの立場でああ言われたら、ちょっと…いや、かなりショックかなって」
るぅと…
ダメだな私。
せっかく久々にるぅとに会えたのに、るぅとにワガママ言って困らせちゃった。
「ありがとうるぅと。でも、話するだけなら私の家でも出来るし、私の家でのんびりしよ?」
「……」
私がそう言うと、るぅとがふと立ち止まった。
「るぅと?」
「話、だけ…?」
「え?」
「話だけ、なの?」
…それってどういう。
「…は、話以外って」
も、もしかして…
「…っ!」
私の思考がある考えに行き着いたのも束の間、るぅとの顔が赤くなり、そんなるぅとを見ていたら、私にまでその熱が伝わってきた。
「や、やだ!るぅとったら何言って…!」
「…ご、ゴメンッ!」
なんとも言えない表情でお互いを見合う二人。
「久々にくろばに会って、前よりもっと可愛くなってて、正直今日はいつもよりドキドキしてた」
「うん…」
私だって、久々に会ったるぅとがカッコよすぎて、最初の方は少しだけドギマギしちゃったよ。
「それだけでもいっぱいいっぱいだったのに、くろばが僕の家に行きたいなんて言うから…」