第3章 むらさきいろのやきもち【紫】
「ほ、本当に?」
「うん!」
「毎日?」
「うん!あ、でも毎日同じものだと、さすがに飽きちゃうよね…?」
「あ、いやっ…」
「なーくんの好きなパンケーキも焼くよ!たくさん練習して、バリエーションも増やすから…!」
ま、待って待って。
「ま、毎日ってどうやって…?」
「なーくんのお家に毎日お邪魔して…って、さすがにそれは迷惑だよね…」
「…い、いや全然」
「え、そうなの?じゃあ、明日から毎日ご飯作りに行くね…!」
「う、うん…」
やった、くろばの手料理が毎日食べられる…
「って、そうじゃなくて…!!」
「へ!?」
「ご飯作ってくれるのは本当ありがたいし、むしろ大歓迎なんだけどさ」
「けど…?」
くろばがまた不安そうな顔をする。
こんな顔をさせたいワケじゃないのに、けれど俺の一言で一喜一憂するくろばを可愛いとも同時に思ってしまって。
「サンドイッチの話。ジェルくんところんと一緒に作ったんでしょ?」
「え?う、うん」
「楽しかった?」
「へ?そ、そうだね。でも二人とも途中でふざけ始めるから、最初は笑ってたけど後半はちょっとだけイライラしちゃった」
ぷっ。
確かに手に取るように想像できるかも。
「あ…」
「ん?」
「なーくん、やっと笑ってくれた…」
そう言って、くろばの手が俺の頬に触れた。
「…ちょ、ちょっとくろばちゃん」
「あ、ごめんごめんごめん!!だって、さっきまでのなーくん本当に恐くて…」
確かに、メンバーにも"たまに怒るなーくんが一番恐い"とかいわれるけどもさ。
「そうやって簡単に、男の顔に触れちゃダメだよ?」
そう言いながら俺の顔に触れてきたくろばの手をギュッと握り、くろばの顔をジッと見つめた。
ねえくろば。
そんな顔してると…
俺、期待しちゃうよ?
「もりさんねぇ、ジェルくんところんにヤキモチ妬いちゃったんだ」
「や、ヤキモチ…?」
「くろばが俺のためにお弁当作ってくれたのは嬉しかったけど、ジェルくんところんと三人で作ったんだって思ったら、ちょっとね」
ここまで言えば、さすがに分かるかな?
「な、なんでヤキモチなんか…」
そう言う言葉とは反対に、くろばの顔がカアッと赤くなった気がした。