第2章 *2*
頭頂部にくっついていた鼻が下がってきて、の耳元でぴたりと制止する。
そして空気を吸い込む音まで響くように肺を膨らませて、吐息交じりに囁かれた。
「ホラ、よく聞いて…オレの声以外…何か聞こえる?」
温かく、余裕のある息遣いは、たっぷりとの耳の奥まで届き、ゾクゾクと体中を駆け抜けた。
耳が弱いことを知っていて、彼はわざとこんなことをする。
少しだけ布に籠った声とは違い、普段の何倍も甘くて低いその声は、いつもつけているマスクが外されていることを容易に証明した。
『ぅ…あ…っ』
敏感に反応する耳。
声が漏れ出し、力が抜けて、思わず体を彼に預けてしまう。
は崩れ落ちてしまわないよう、火影様の背に回した手で、しがみつくように服を掴んだ。
「ね…どう?聞こえた?」
『あ…っや…聞こえな…っ』
「じゃあいいじゃない。」
六代目は耳にかかる髪をかき上げて、耳たぶを舌で弄んだ。
形に沿って舌先を滑らせ、時々唇で啄むように吸われる。
ちゅ、ちゅぱ… と唇が触れるたび、いやらしい音がの鼓膜を震わせる。
身体の奥のほうから熱くなる感覚。
ビクッと反応すると、耳の穴にまで舌先を入れられ、じゅるじゅると音を立てられた。
『はぁっ…やぁ、め…!』
先程よりも強い刺激と羞恥心が、さらに快感を増幅させる。
言葉とは裏腹に感じる身体。
呼吸がだんだんと乱れる。
ああ、もっとして…
そんな淫らな感情が沸き上がり、顔が赤く染まっているのが自分でもわかるほど熱を帯びて、はぁはぁと口から荒い息が漏れ出した頃、
火影様の動きがピタリとやんだ。