第2章 *2*
「こっち」
『え?』
ニコニコとした優しい笑顔の彼にグイッとそのまま腕を引かれ、勢いよくその方向へ体が傾いた。
ぽすっと厚い胸板に額がぶつかる。
『わ!ちょっと…!』
「ん~癒されるね、この香り」
六代目火影はそう言いながら、両腕を背中や腰に回し、くんくんと鼻をひくつかせる。
しかし、そうはいってももう深夜だ。
一日中働いているのだから、としては汗や皮脂の匂いだって気になる。
それに万が一誰かに見られでもしたらと思うと……
は火影様の腕の中でくねくねと身をよじり、何とか距離を取ろうと試みた。
『や、やめてください火影様…執務室でこんな』
「ダイジョーブ。 誰もいないっていったでしょ。」