第2章 *2*
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「ぅあ~~!そこそこ!」
『一昨日マッサージしたばっかりなのにもうこんなに…少しは体を労わってください。』
空色の椅子の後ろに回り、肩のツボにグリグリと肘を入れて押す。
カチカチに凝り固まったそれはかなり強敵だ。
は『うぬぬ』と声を漏らしながら、必死にそれと戦った。
「あ~効くね~……ところで、何でまだ敬語使ってるの?」
『何でって…一応、業務中ですから。 んぬぬ…』
会話の間も力を抜かない。
これはやっかいな肩凝りだ…
「もう今日の仕事は済んだでしょ。 皆帰っていないんだからいつも通り話せばいいのに…」
『私はまだマッサージという重要な業務が残ってますから…っ!』
「真面目だねーホント。オレがいいって言ってるのに。」
『いけませんっ。 公私混同させていてはこんなお仕事を任されている身として里の皆に示しがつきませんから。』
「は~頑固だね。…ま、お前ほどできた部下はいないよ」
『それはどうも…。よし…他は大丈夫ですか?』
一通り肩のマッサージを終え、は次の指示を仰いだ。
「ん~そうね…体の凝りは解れたけど、今日はもう少し、癒しの時間が欲しいかなあ」
『癒しですか?』
そう、と言葉を繋ぎながら、六代目は机の上にある書類を端のほうに除け始めた。
が、そろそろ帰る支度でもするのかな?と思い、椅子の後ろから机の正面に回ろうとした、その時…
ぱし と軽く手首を掴まれた。