第15章 待ち人
そう、俺がリアのことを追いかけまわしてから早くも1か月。リアはとうに降参し、俺に情報を寄越した。だが、あいつは何も分かってねぇ。
―俺はとっくにあいつに惚れてんだ。
「そろそろ遊び回るのも終わりにしようぜ。」
「…今までは本気じゃなかったってのかい。」
「当たり前だ。俺がお前に求めてるのは無理やり奪えるもんでもねぇ…が、それもそろそろ限界だ。」
「なっ!?」
今までにない速さで瞬間的に距離を詰めてやる。今まで飄々としていた顔が驚愕の表情を浮かべたことにやや満足しながら、リアの腕を片手で纏め上げる。
「…何が望みだい?」
「…お前だ。」
「何だって?」
「お前が欲しい。」
そのまま驚いて薄く開いている口に噛みついてやる。もちろんこんなことで動揺するはずもないだろう女の表情を見てやろうと一度距離を取るとそこには羞恥に染まった顔。
―これは、やべぇな。
「…何て顔してんだ。」
「あ、アンタのせいじゃないか…。」
「オイオイ、どこまで俺を愉しませてくれるんだよ、お前は。」
「…うるさいね。」
「初めてか。」
「…フン、悪かったね。さっさと手慣れた娼婦でも見つけて相手してもらうことね。」
「ますます気に入った。」
纏め上げていた女の腕を話して腰に手を這わせると掌に伝わる僅かな震え。そして緊張で固まっていた女の耳朶に口を近づけて囁いてやる。
「…俺の女になれ、リア。」
するとみるみる頬どころか耳まで赤く染まる。あんなに気の強ぇ女が、こんな顔するなんてな。完全に主導権を握った俺は、後は女が頷くのを待つだけだった。
それから俺は牢屋に入ることになり、評議員が壊滅してかたはいろいろあって魔女の罪に所属することになった。
当然、リアとの連絡は途絶えた。俺の罪が赦されてからも俺はリアを探し回っていたが、何の足取りも掴めずにいた。
そんな時にまさか、たかが魔導士の雑誌に掲載されるなんて信じられねぇが、実際に映っているのは紛れもなくあいつだった。
「チッ、」
「迎えに行くの~?」
「当然だ。」
「あのコブラにここまでさせるたァ、面白れぇ女だな。」
「黙ってろ、ソーヤー。」
面白がるあいつらに構ってる暇はねぇ。待ってろ、リア。