第11章 おにぎり宮の帰り道（角名）

「ちょっと今、が何言ってるのかよくわかんないんだけど」



「わけわかんないこと言ってるってことをわかってくれたら、それでいいよ」



「よくわかんないけど、わかった」





こうやってたまに

なぞなぞみたいなことを言ってくる。



そしてその "なぞなぞ" の答えは、

だいたいわからないままのことが多い。



だけど、それでいいらしい。




最初はソレが理解できなくて


なんなら理解しようと試みた努力がきっかけで

ケンカをしたこともあったけど、


今はわからなくても、ただ受け止めることが大切だって。




それが正解。





そしてそれは俺の役目だし

俺以外にそのポジションを譲る気も、もちろんない。　





「今日どっちに帰る？」



「どっちでもいいよ」





同じマンション


家賃は2部屋分



そして二人とも家にいる時は

基本的にどちらかの家に二人でいる。




だから、一緒に住めばいいのにって思うし

もちろん提案したこともある。



だけど、それは違うらしい。



一緒に住むのは付き合う時なんだって。





「じゃあうちでいい？」



「いいよ」



「………やっぱりホテル行かない？」



「いいけど。でも明日も仕事でしょ？」





俺も明日もいつも通り仕事だし。