【ハイキュー】私の苗字は角名になるのか宮になるのか
第11章 おにぎり宮の帰り道(角名)
「もっとネックウォーマーぐってやって!」
「はいはい」
変装、ではないけど
夏の祭典以降声をかけられる機会は増えた。
現に今日もだったし。
だから、出来るだけ俺だってわからないように、
といる時は特に
いつもよりさらに少しだけ気を遣う。
「フードも被ったら?」
「怪し過ぎない?」
「私が隣にいるし、大丈夫じゃない?」
「そう?」
今日は全身黒づくめ
フードを被れば、たぶんほぼ肌は出ていない。
前にソレで一人で歩いてたら職質された。
「でも治、若いのに凄いよね」
「そうだね~。でもリンもすごいと思うよ?」
「どうしたの?」
こんなにが素直なのは最近
いや、本当にここ最近では特に珍しい。
「何が?」
「やけに素直じゃん」
そう?と返ってきたけど、本当にそうだよ。
まぁ、機嫌が治りつつあるってことでいいことなんだけど。
「さっきさ、治くんがリンに彼女いるの?って聞いたじゃん?」
「うん」
「で、高校生の頃、好きだった子は?って話になったじゃん?」
「うん?」
「私は高校生の倫太郎のことは知らないけど
治くんは私のこと、いや、私とは知らないけど。
でも、倫太郎がずっと好きだった女の子のこと知ってたんだ~って思ったの。
なんか、嬉しかった」
「そ。よかった」
嬉しそうに俺を見上げるに
自然と口元が緩む。
「リンがそういう子がいるってことを話してるのも意外だった」
「いろんな人が知ってるわけではないけどね」
"俺の好きな子" のことを知っているのは
稲荷崎のバレー部のタメだけ。
数少なすぎる中で
まさかと治が付き合うなんて、思ってもみなかったけど。
そして治、よりまぁ侑の方が多くはあったけど
それでも双子とは一緒にまぁまぁ遊んだ。
だから女の子から恨まれることも何度もあった。
だからこそ、その治がまだ手を出していないということが
まじで衝撃的すぎるんですけど。
………え、
やっぱり早く別れてほしい。