【ハイキュー】私の苗字は角名になるのか宮になるのか
第9章 角名と一緒におにぎり宮へ
だけどもちろん、
治くんにそんなことは言えないから
「そうなんや。連絡とかしてみたら?」
「連絡先、知らないし」
そう言いながら倫太郎の左肘が、私の右腕に当たって
治くんの目を盗んで、チラリとそちらを見ると
倫太郎の左腕がだらりと落ちていて。
私が見たことを確認して
"こっち" って、私も右腕を下ろすように左手で指示されて。
それに従う私もどうかと思うんだけど、
今、どうしようもなく倫太郎と物理的な距離を縮めたくて。
私もカウンターの上で肘をついていた右腕をそっと下ろして。
カウンターの下、治くんからは見えないだろうところで
下ろしたその手を倫太郎の大きな手が包み込む。
そしてその手に自ら
指を絡ませた。
あぁ、私
何やってるんだろう。
治くんに対する罪悪感
だったらやめればいいのに。
でも、それができない。
どうしようもないヤツだってわかってる。
そんなの七年前からわかってた。
「お待たせしました~!できたで~!」
ほいっ!とカウンター越しにおにぎりが出てきて
咄嗟に手を離して。
「めちゃくちゃ美味そう」
「美味そう、じゃなくて美味しいの!」
「せやで~!」
「いただきまーす!」
「いただきます」
今まで通り罪悪感は一瞬で
何事もなかったかのように両手でおにぎりを頬張った。
(2021.6.12)