第20章 仙台で（会場にて）

「やーー！やっぱり木兎くんかっこよかった！」





んーー！って真っ暗な空に向かって伸びをするあおいさん





「今度木兎さんとご飯行きます？

赤葦に言えば大丈夫だと思いますけど」



「いやいや、試合観戦だけで十分！

てか思ったより早く終わったね？

これなら予約しとけばよかったね～」





あおいさんおすすめの牛タン屋さん



人気店らしく予約した方がいいみたいだけど

試合が長引いた時のことを考えて予約はしなかった。





「けっこう並ぶんですっけ？」



「日によるけど、土曜だから多いかもね～」



「へぇ。お腹すいたし楽しみだなぁ！


………あ、そうだ

あおいさん、お願いがあるんですけど。

ユニフォーム着てるとこ、一緒に写真撮ってもらえませんか？

で、それSNSにあげてもいいですか？」



「いいよ～。私もせっかくユニフォーム買ったから後であげよっかな！」





しっかりと番号まで写して

"ユニフォーム買ってみた　だけど今日は残念"

って文字も添えて。



SNSにアップする。





「あ、そうだ。治くんにも連絡しとこ」





【侑くんのユニフォーム買ったよ～！だけど今日は残念でした】

と、今の写真付き



仕事中だろうこの時間だから

既読はつかない。





「倫太郎くんは？」



「しませんよ」



「あえてするのかと思ってた」





なるほど。



連絡するもんか！って思ってたけど、それはそれでアリだな。



たった今あげたばかりのストーリーをスクショして

そしてそれだけを送りつける。





「バーカ！バーカ！」





トーク画面に向かって

つい暴言を吐いてしまった。


お母さんに聞かれたら怒られる。





「倫太郎くん、一言報告しておけばこんなことにならなかったのにねぇ」



「ほんとですよ。自業自得です」



「よし！じゃあ行きますか！」



「はーい！楽しみだなぁ！」





その後わりとすぐにスマホが振動したけど、


相手を確認した後




ここ最近に倣って例外なく。


無視をした。




（2021.6.26）