【ハイキュー】私の苗字は角名になるのか宮になるのか
第20章 仙台で(会場にて)
「とりあえず彼女次第にします」
「うんうん。そうしよ?」
だけどやっぱり、これだけの人の中から
倫太郎の彼女を見つけ出すことなんてできなくて。
………そりゃそうか。
で、とりあえず席の確認も兼ねて
会場の中に入って本日の席へ。
「てかこんなに早くから結構入ってるんですね」
いつもギリギリだから
もちろんその時はほぼ満席なんだけど
「ほんとにね~。でも祭りだからねぇ!」
「………そうですよね。
基本的に私は自分の意思とは少し違うところで行動してますけど、
そうですよね。楽しみなことだったらそうですよね」
もう何度来たかもわからないバレーの試合。
ただ、私は基本的に倫太郎に誘われたり、
というかそんな感じで見に来ているから。
だから正直、いまだにルールもいまいちわかっていない。
だけど、好きなことならそうだよね。って
ここにきて初めて気づく。
「………ねぇねぇ、倫太郎くんって何番だっけ?」
「7番です」
「あーーーーーーー………」
歯切れの悪いあおいさんの視線の先
私たちの二列後ろの対角の席に
倫太郎のユニフォームを着た女の人が一人座っている。
「え、もしかして………?」
「うん、たぶん。そう」
お互い目を合わせて、そして特に合図なんてないけれど
どちらともなく二人同時に着席する。
え、まじで?
………いや、そうなんだけど。
倫太郎の彼女の確認という目的のために
わざわざ仙台まで来たんだけど。
だけどまさか、
本当にいるなんて思わないじゃん?
こんなにたくさん人がいて
あおいさんにお願いして探してもらうんだけど、
だけど、
「いなかったですね~」「なんだ、残念」
なんて言いながら
結局何事もなく会場を後にして。
そして笑いながら牛タンを食べに行く予定だったのに。