【ハイキュー】私の苗字は角名になるのか宮になるのか
第17章 クリスマスプレゼント(角名)
の目が、大きく見開かれる。
「もしかして、心配してる?」
「………何を?」
もちろん、わかるけど
「治くん」
「なんで?」
精一杯、そんなんじゃないよ?
って。
「んーん。だったらいい。
全部、いつも通りだよ?」
「知ってる。ん、こっち」
自分の膝の上に誘導して
胡座をかいた上に、が座る。
俺の胸にもたれかかられる。
この重さは心地いい。
後ろからそっとの左手を取って
ついさっき、の指に通った指輪をそっと撫でる。
「ピンキーリングって意味があるんだって。知ってる?」
「わかんない。リン、知ってるの?」
「うん。お店の人が教えてくれた。
左右で意味が変わってきて、
左手につけると幸せを留めておく、とか
いい意味での "現状維持" みたいな意味があるんだって。
だから、恋人に送るなら左の小指がおすすめですよって言われた」
「へぇ~!でも恋人じゃないけどね!」
「でもじゃあ何?って言われても、俺たちの関係には名前がないじゃん」
「家族?」
「戸籍上は違うじゃん」
「細かいなぁ」
そんなのどうでもいいじゃんってが笑うから
この七年間どうでもよかった。
ただ、初めてそこに名前が欲しいと思ってしまった。
だけどまだ、今じゃない。
らしいから。
だからせめて、俺との印を。
「前にさ、リンと指輪の話したの」
「うん。覚えてるよ」
「………忘れたのかと思った」
「忘れるわけないじゃん」
「そっか。よかった」
から出た「よかった」という言葉に
少なからずホッとした自分がいた。
次に俺が指輪を買うのは、きっと婚約指輪で
その時は、
今まで名前がなかった俺たちの関係に、名前が付く時。
俺は別にそれが明日でも全然いいんだけど
だけど、それはもう少し先みたい。
(2021.6.23)