【ハイキュー】私の苗字は角名になるのか宮になるのか
第14章 クリスマスイブ(後編/その後)
今初めてシたことで、さっきまでのキスへの遠慮は
さすがになくなったみたい。
治くんのしっとりとしたキスと肌がものすごく心地いい。
倫太郎とは七年間一緒に過ごして、身体を重ねて
七年分の気持ちよさがある。
だけど、治くんとはなんだろう?
蕩けそうになるキスも
しっとりとくっつく肌と肌も、
私を満たすその時間も。
初めてだったし、
とりあえず今回は中でイクことさえなかったものの、
倫太郎とはまた違う。
身体の相性がいいってこういうことなのかなって。
初めてそんなことを思った。
「ほんとだね」
治くんに身を委ねる。
ただ、私の腕は体の横にぶら下がったまま。
なんとなく、
ううん。
ここまで、これ以上はしないっていう線引き。
そんな感じのヤツ。
"これ以上はダメ"
だから、腕を回すことは躊躇われた。
「朝起きたら、明日ちゃんがおるんよな?
寝るのもったいない気ぃするけど、早く寝たい気もするわ」
髪を乾かしていた時みたいに私の髪をすくい上げ
目を閉じながら自分の鼻にあてがう治くんに
ふと愛おしさに似たものが込み上げる。
だけど、慌てて蓋をする。
「じゃあ今日はもう寝よっか?」
「おん。もったいないけど」
「起きたらまた会えるよ?」
「せやな。はよ明日のちゃんに会いたいし。
おやすみ」
「おやすみ」
治くんに抱きしめられたまま
治くんの腕枕でそっと目を閉じる。
倫太郎とは違うけど、
なんというか、安心感?
ふわりと包み込んでくれるような、
初めてなんだけど、そうじゃないような。
そんな感じ。
………あぁ、どうしよう
私は何も思っていないし、
何も感じていないし、
何も感じでは、いけない。
(2021.6.19)