【ハイキュー】私の苗字は角名になるのか宮になるのか
第14章 クリスマスイブ(後編/その後)
治くんはやっぱり治くんで
全部、優しかった。
「嫌や、なかった?」
私の髪をそっと撫でるその手も優しい。
片肘を立てて頭を支えている
少しだけ高い位置にある優しい瞳に視線を合わせて。
「嫌そうに見えた?」
「………いや」
「でしょ?」
そんな私の言葉にホッとした表情の
ふっと力が緩んだ治くん。
「おん。けどどうしよう。
ちゃんのこと、もっと好きになってしもた」
「………ありがとう」
治くん腕の中で
治くんの胸に顔を当てて、
治くんの声を聞く。
「あんな?ちゃんな?俺に遠慮とか、してる?」
「………なんで?」
「いや、なんか。なんて言ったらいいのかわからへんけど
いつも俺ばっかな気ぃして。
付き合ってるのに、そうやない。みたいな」
伏し目がちなのは意図的なのか、そうではないのか。
どうしよう。
何と答えるべきなんだろう。
「………やっぱ難しいわ!
変なこと言ってすまんな」
治くんが言いたいことはなんとなくわかった。
そして治くんは間違っていない。
そんなことを言わせてしまったこと、
そしてそれに何も答えられずに気を遣わせてしまったこと。
その全てが、ただただ申し訳なかった。
「そんなこと思わせてごめんね」
「ちゃうで!俺がちゃんのこと好きすぎて
ちょっとだけ不安になっただけや。
だけど今こうやって一緒におれるから幸せやし」
そう言いながら少しキツめに抱きしめられて、
そして唇を塞がれる。