第11章 ‘‘癒しの力”
「俺はそのことをユースタス屋から聞いた。…俺は‘‘清者”じゃねェから、通常の``5倍″って聞いても、どれほど力使うか分からねェ…。だが、相当の力を使うってのは分かる。お前、そんなに体力ねェだろ? …だから止めとけ…っつーか、止めろ。」
「でも…早く治した方がいいんじゃない? また引っ掻いたりして血が出ちゃったら、ね…。」
「……そう言われてみればそうだが…本当に大丈夫か?」
「…た、ぶん…。自分で使ったことないから、分かんない…」
真鈴はそう言いつつ、自分の手を傷口にかざした。
…淡く光り始めた。
「…っ」
傷口が徐々に塞がっていくが…先程と違い、時間がかかった。
…5分後に完全に傷は消えた。
「治った…か?」
「うん…ーっ⁉︎」
いきなり頭に痛みが走り、目の前が真っ白になった。
そのまま意識が飛び出そうになりバランスを崩した。
「っぶねェ‼︎」
ローが間一髪で真鈴の身体をキャッチした。
「やっぱり大丈夫じゃないじゃねェか‼︎」
「はは…ごめん、なさい…」
まだ意識が朦朧としているのか、真鈴は虚ろな目をローに向けている。
「``5倍″って…結構力がいるのね…」
「あまり喋るな。無駄な体力使うぞ…。ちょっと待ってろ」
「? …ひゃっ⁉︎」
ローにお姫様抱っこされた。
「ちょ、降ろし…っつ‼︎」
また頭に痛みが走った。
「だから言ったろ…。今ベッドまで連れて行ってやるから…」
「す…すみません…」
「いいから黙ってろ。」
「…。」
…寝台に近付き、真鈴をその上に優しく寝かせた。
「…ちょっと休んどけ。」
真鈴の返事が返ってこない。
「? …おい⁉︎」
(まさか意識失ったとかじゃねェだろうな…⁉︎)
心配になり、真鈴に顔を近付けてみると、真鈴は小さな寝息をたてていた。
「何だ…寝たのか…」
(……意識飛んだのかと思った…)
そのまま寝かせておこうと、寝台を離れようとした…が、寝台が軋み、その音で真鈴は起きてしまった。