第11章 ‘‘癒しの力”
「ベポー…? 」
(どうしたんだろ。…トイレかな)
…そんなわけがない。
だったら何故謝りながら出て行ったのだ…。
「……真鈴」
「‼︎」
目の前にローが立っていた。
こちらを睨んでいる。
「…な、何…ロー?」
上目遣いでローを見る。
…ローの身長が高いので、自然とそうなるのだ。
「…っいや、もういい…」
「?」
(あー…まただ…相手はベポだぞ⁉︎ ……なのに…モヤモヤする…っつーか、イライラする…)
「…」
「へ⁉︎」
ローは真鈴を抱きしめた。
心臓が跳ね上がり、真鈴の脳内が一気に真っ白になる。
「ろ、ろろロー⁉︎」
離れようとするが、力の差がありすぎる。
ローの胸板を押すが、離れることが出来ない。
それどころか、離れようとすると、ますます抱きしめる腕に力がこもった。
「……しばらくこうさせろ」
「え⁉︎」
「…嫌、か?」
腕の力を弱め、真鈴を見つめる。
「っ‼︎ …べ、別にい、嫌じゃ、ない…」
小声でボソボソと呟くように言った。
ローはニヤリ、と笑うと、再び真鈴を抱きしめた。
…が、はっ、と何かに気付いたようで、真鈴を引き離した。
「あ…」
「お前…そういえば、傷…‼︎」
「傷? ……あ。」
そーいえば怪我してたんだった、と思い出した。
(痛くないからすっかり忘れてた)
…真鈴が傷をみるより先に、ローに手をとられた。
「?」
「傷は軽いな…化膿はしてねェし、血は止まってる。」
「…もう全然痛くないから大丈夫だよ?」
(そうだ…ローは医者だった…)
「消毒してやるからちょっと待ってろ。」
「あ…待って‼︎ 消毒しなくていい‼︎ …自分で治すから‼︎」
「‼︎」
ローは、はハッと大事なことに気付いたよりな表情を示したが、すぐ首を横に振った。
「自分で治すのは止めとけ…。‘‘清者”が自身の傷を治す時には、通常の``5倍″力が必要なのだろう?」
「え…⁉︎ そうなの⁉︎」
真鈴が目を見開いた。
「は⁉︎ 知らなかったのか⁉︎」
「うん…初耳…」
「……おい海軍…本当に力使うことしか考えてねェな…」
ボソリ、と呻くように呟いた。
「? 何か言った?」
「いや、何でもねェよ。」
ローは一旦言葉をくくり、再び話し出した。