第10章 ※シャボンディ諸島
真鈴からそっと離れ、頭をポンポン、と数回叩いた。
身体の震えがピタリと止まった。
(震えが…止まった。…なんか安心感がすごく感じる…)
「…あ、りがと。落ち着いた…」
「おう。……あ、そろそろしとくか…」
「? わっ⁉︎」
ローが急に、真鈴の上着についてあるフードをかぶせた。
「そろそろかぶっとけ。」
「あ…うん」
そして、真鈴の顔を覗きこみ、ジッ、と見つめた。
「なっ、何⁉︎ 何かついてる⁉︎」
「いや…。大丈夫そうだな。」
「何が⁉︎」
「顔余り見えてねェよな、と思って。」
「あ…うん。あ、なるべく私、って分からないようにすれば万々歳だよね?」
「まぁな。」
「髪結ぼ。暑かったから丁度いいし!」
おさげ頭にした。
ちなみに三つ編みはなしで。
「…っ‼︎」
真鈴から顔を背けた。
「ロー?」
「いや、何でもねェ…」
(糞…可愛いじゃねェか…)
顔が赤くなるのが分かる。
だが、そんな雰囲気を壊した奴がいた。
「船長ー‼︎ 買い出しリスト、これでいいですかー?」
「あ、シャチさん」
「シャチでいいよ‼︎ で、船長…って、ひっ‼︎」
「シャチ…リストはそれでいい。が、ちょっとこっち来い。」
(雰囲気ぶち壊しやがって…っ)
「は…はひぃ」
「? ???」
「お前は部屋にいろ。着いたら呼びにいく。…何があっても、部屋から出るんじゃねェぞ。」
「はい‼︎ …じゃあ。」
真鈴が部屋に戻った後。
甲板から悲鳴混じりの「何でェェェ⁉︎」と、聞こえた…のは、また別のお話で。
…真鈴は何が起きたのか分からず、ウズウズしていた。
ちなみにベポは、その声を聞いて、ため息をついたのは言うまでもない。