第9章 ローの葛藤
ベポが部屋から出て行った。
「………はぁ」
思わずため息をついた。
さっきベポに言われたことを思い出した。
『キャプテンが真鈴さんのことを好きだからですよ。』
『真っ先に真鈴さんのことを気にするのに、好きじゃないわけないじゃないですか‼︎』
『初恋はキチンとしないと、後で後悔しますよ?』
「…………好き…か。…こんなの、初めてだ」
そんな感情が湧いたこともなかった。
女から自分に好意を持って近づいてくる奴がいても、自分はそんな感情は湧かなかった。
向こうから求められれば、気が乗ればだが、一応、応える。
だが、それも1回きりで、深く関わりを持たない。
言わば、女とは、ただ自分の性欲を解消するためのモノとしか思わなかった。
(あいつには…今までのような乱暴はしたくねェ…と思うのは、好きだからか?)
ローは寝台に移動し、それに身を預けた。
「少し…寝よう…」
今あいつに会ったら、どんな顔をすればいいか分からない。
落ち着いてから顔を合わそう…と思ったその時。
「ロー……ご飯出来たけど…寝てる?」
「‼︎」
真鈴が部屋に入ってきた。