第9章 ローの葛藤
「キャプテン…?」
「……気分が乗らなかったからだ。」
(こいつに言われたからって…言えやしねェ…。)
ローはそっぽを向いた。
「……あのー…」
『?』
真鈴の声に2人は振り向いた。
「2人でイイ雰囲気の所で悪」
「このどこがイイ雰囲気なんだ? 俺は男に心惹かれる趣味なんかねェよ…」
後半になるにつれて声が低くなる。
「す…みません」
「僕雌熊しか興味ないよ‼︎ 異性としてじゃないけど、キャプテンのことも真鈴さんのことも好きだよ‼︎」
「べ、ベポぉ……可愛い過ぎなんだけどぉぉぉ‼︎」
「わっ⁉︎」
真鈴がベポにぎゅう、っと抱きついた。
「…っ」
ローは心にムカつきを覚えた。
(何ベポ[男、と読む]にくっついてやがる…‼︎)
「ま、真鈴さん⁉︎」
「ふわふわ…モコモコ…気持ちイイ…可愛い…」
「……おい、清者、離れろ。」
『‼︎』
「あ……いや、その、だな…」
真鈴とベポがくっついているのが我慢ならず、つい心情を口に出してしまった。
「さ…さっさと外出るぞ、何かあったら一大事だ」
「‼︎ はいっ」
(すっかり忘れてた…)
「ラジャー‼︎ …あ、キャプテン!」
「…なんだ、次は」
再びこそっ、と耳元で、
「真鈴さんに触って、すみませんでした…キャプテンの彼女なのに…」
「か⁉︎」
ローの顔が赤くなった。
「あ、赤くなりましたね♡ 顔冷やしてから出てきた方がいいんじゃないですか? じゃあ先に行ってまーす‼︎ 真鈴さ〜ん、行こー‼︎」
「うん‼︎ …あ、ローは?」
チラ、とローを見た。
「っ‼︎」
「ちょっと用事してから行くって‼︎ ね、キャプテン‼︎」
「‼︎ あ、あぁ。先行っとけ…」
真鈴とベポが外へ出て行った。
一人になったローは、その場でしゃがみこんだ。
「……何故…赤くなる…‼︎」
(あいつが彼女? 好きでもね…)
好きで…ない?
いや、気になっているのは確かだ。
しかしそれはあいつの能力で、あいつ自身を気になっているのでは…
…否定しようとすると、心が痛む。