第6章 夜
「とりあえず、行くぞ。こっちだ」
「あ、キャプテン‼︎ 僕、荷物片付けてきますー‼︎」
「すぐ戻れよ‼︎」
「アイー‼︎」
ベポが言いながら部屋を出て行った。
真鈴とローも部屋から出た。
そして、出てきた部屋の隣の部屋に入った。
その部屋は、先程の部屋より一回り小さかった。
風呂場があり、洗面所もあった。
風呂場の手間に小さな部屋がある。
どうやらそこで着脱衣をするようだ。
「…風呂場の入口にベポを張らせておくから、何かあったら言え。」
「⁉︎」
(え…ベ、ベポって、男(雄?)なんじゃ…⁉︎)
真鈴が不安そうな表情を示した。
「…大丈夫だ。ベポは女(雌)の熊にしか目がねェから…」
「!」
…おそらく真鈴の表情から、心情を読み取ったのだろう。
「そ…そう……」
「…まぁいわば、ボディーガードだな。安心しろ。ベポは正義感が強ェからな。」
「うん…」
「…キレるとすげェぞ。…色んな意味で」
「ヒィィ……怒らせないようにする…」
ベポがブチキレた姿を想像し、身体を震わせた。
「…あ、寝間着は今着てるヤツ着ろ。……下着とかはねェから、すまねェが我慢してろ。」
「うん」
「じゃあ………ごゆっく、り。俺は戻る。」
「うん、ありがと‼︎」
ローは部屋から出た。
扉を閉じ、もたれかかる。
(‘‘ごゆっくり”なんて……俺のガラじゃねェ…。あの女の前だとつい優しくなるのは何故だ…。船員なら、ましてやシャチなんかだとほっておく癖に…)
俺の扱いひどいっすよ⁉︎ 船長‼︎ by シャチ
…シャチの叫びはさておき。
ベポが戻ってきた。
「キャープテン…って、どうしましたか、キャプテン⁉︎」
「あ…ベポか。何でもねェよ。」
「疲れているのでしたら休んで下さいよ⁉︎」
「大丈夫だ。…あとを頼む。」
「アイー‼︎」
ベポが去っていくローに向かって敬礼した。