第4章 これから
ローは目をむきだし、驚きの表情を隠しきれない。
「腕、つっちゃって…。身体固いものだから…。」
「…腕はまだ痛むのか?」
「腕は、今はあまり痛くない…けど、チャック届かない…」
「……。」
ローははぁ、と溜息を一つついた。
「……分かった。入るぞ」
「すみません…」
ローは律儀にも扉を3回叩き、扉を開けた。
そこには、地べたに座っていて、背中がはだけた真鈴の姿があった。
だいぶ、下の方でチャックが止まっている。
「⁉︎」
予想していたよりもチャックが閉まっていなかったので、真鈴の妖艶な姿に、思わず変な気持ちが湧き起こらせてしまった。
…ローも男である。
年頃の女の子を見て欲情するのは当たり前だろう。
(平常心……平常心…)
そんなことを心の中で唱えながら、真鈴に近づく。
…よく見ると、チャックが服とかみ合っていた。
「あー…服かんでるじゃねェか。そりゃ上がらねェ筈だ…」
「⁉︎ なんだ…かんでたのか…。そりゃ上がらないよ…」
チャックを一旦緩め、かんでいた服とを離した。
ゆっくりチャックを上げる。
「あ、上がった」
「…。」
(……こいつの背中、綺麗だな。)
チャックを一番上まで上げ、手を止める。
「ローさん? 終わった?」
「………」
「…ローさん?」
そっと真鈴の背中に手を添えた。
「⁉︎」
真鈴が後ろを振り向く。
「‼︎ 」
真鈴の目に、頬を軽く赤く染めたローの顔が映った。
それを見て、真鈴も顔が熱くなったのが分かった。
「す…すまねェ、終わった…」
「いえ……あ、あの、ありがとうございました…」
真鈴はクルッ、と反時計に回り、ローと向き合った。
「…ごめんなさい、大変お見苦しいものを…‼︎」
「いや…大丈夫だ。見苦しくなんか、ねェ…」
「…っ」
「……。おい、ちょっと立ってみろ。」
コクン、と頷き、ローの言われた通りに立ってみる。