第4章 これから
「大丈夫か? この鏡、すぐ反射するから気ィつけろ。」
「あ、はい」
「…俺は棚の整頓しているから、その間に着替えろ。」
「はい!」
「着替え終わったら、呼べ。」
「分かりました」
ローは棚…じゃなく、個室のドアを閉め、足音を鳴らしながらその場から遠ざかっていった。
(…よし、着よ。この服、血が付いてたから少し気持ち悪かったんだよね…)
…1分後。
「……ぬおぉぉぉぉ…」
真鈴は背中のチャックと格闘していた…。
正確に言うと、上までチャックが上がらないのだ。
(〜っ‼︎ こうなるのだったら普段からストレッチしとけばよかった…っ‼︎ 身体固すぎ…‼︎)
頑張ってみるものの、無理なものは無理である。
頂上までまだ距離がある。
ビキッ
「…っあ‼︎」
(腕つった…‼︎ う、動け、ない……っしょ)
ダメ元で腕を動かしてみるものの、
ズキズキズキッ
「‼︎ …… ‼︎ … ‼︎」
痛くて腕を床に降ろすのが精いっぱいだった。
「…………おい、まだか? そんなに着るのが難しくねェ服な筈だが?」
「‼︎」
「……聞こえているのか?」
「………ぇ、と…」
「? …何かあったのか⁉︎」
カツカツ、と足音が聞こえ、ローがこちらに近づいてくる。
「え、いや…あの」
「どうした」
足音が止まった。
声も近くで聞こえる。
個室の前にたどり着いたようだ。
「…す、すみませんが………ち、チャック、上げて下さい…」
「………は⁉︎」