第20章 力の代償
真鈴の目を見ると、トローンとしており、いつもの彼女の様子ではない。
ローはふと、真鈴を抱きしめる力を弱めた。
…すると真鈴がローの目の前まで顔を引き寄せ、拗ねたような表情を浮かべながら言った。
「ろぉ‼︎ なんでゆるめるのぅ⁉︎ もっと、もっとぎゅーってしてぇ‼︎」
…プクーっと頰を膨らませながら。
「っ‼︎ あ、あァ、すま、ねェ…」
…ローは真鈴のあまりの可愛さに鼻血が出かけたのであった。
真鈴の言われるがままに、彼女を再び強く抱きしめる。
「ふふふ〜」
真鈴は満足そうな表情を浮かべ、ローの首元に顔を埋めた。
「ろぉのにおいがするぅ…」
「…っ」
(……ヤバい、理性切れそう…だ…っ)
ローの心臓はヒートアップし、はちきれそうなくらい胸が高鳴っている。
「…っお、おい、少し離れ」
「Zzz…」
「は⁉︎」
…真鈴はどうやらそのまま眠りについたようだ。
ローの暖かい体温と匂いに安心しただろう。
「……」
ローはとりあえず自分の首に巻きついている真鈴の腕を解いた。
彼女はスヤスヤと気持ちよさそうに眠っている。
真鈴を横に寝かせ、自分は椅子に座った。
…瞬間、部屋の扉がゆっくり開いた。
「キャプテン…今日はこの部屋で寝ていいですか?」
「いいに決まっているだろうが。あ、でもこいつ熱あるな……と、いうか、逆になんで駄目だと思ったんだ…?」
「いやぁ…昨日の晩、キャプテン真鈴さんと、ラブラブヒューヒューしてたし、今真鈴さん熱出てるし…」
(昨日の晩? ベポが遅れるっつって、結局戻ってこなかった…はず。…真鈴とも、そこまでのことはしてねェぞ…?)
ローは頭上にハテナマークを浮かべた。
「…キャプテン全裸だったでしょ⁉︎」
「全裸⁉︎」
「…というのは、誤解だと後で知りましたけど…」
「…いつの間に俺は全裸になったんだ、と思ったじゃねェかよ…」
「全裸じゃなくても、真鈴さんに手ェ出してたのに変わりはないでしょー…」
「…。」
(やっぱり…)
ベポはニヤニヤしだした。
「…ッチ、ニヤニヤするんじゃねェよ…寝るぞ‼︎」
つい、大きな声で言ったため、真鈴は目を覚ましてしまった。