第20章 力の代償
「う……ん…」
「あ、起こしちゃいましたか?」
ベポは軽い足取りで真鈴がいる寝台に近づき、顔を覗きこませた。
「あれ…私…寝てた?」
「はい、ぐっすり寝」
「ぐっすり寝てねェよ」
「え⁉︎ 今の今まで寝ていたんじゃ…」
ベポは顔をローの方に振り向かせた。
「…ベポが来る、ほんの少し前まで起きていたさ、こいつ」
「待った、ついさっき? …私全然起きてた記憶ないのだけど…⁉︎」
真鈴は身体を起こした。
ローは真鈴の喋り方が元に戻って、ガッカリしたような嬉しいような、複雑な気持ちになった。
(意識がはっきりしている…ということは、熱はだいぶ下がったな)
「…お前は記憶ねェで当然だと思うぜ。なんせ、高熱で意識がどっか飛んで、イカれていたからな…」
「⁉︎ え、私…何していたの…⁉︎」
(ほんっとに記憶ないんだけど…⁉︎)
「……お前、それの答え聞いたら、多分気絶するぜ?(恥ずかしさで)」
「気絶⁉︎」
「…聞きたいですっ‼︎」
ベポは嬉々とした表情で言った。
「え、ちょっベポ⁉︎」
「なら、教えてやろう。」
ローはニヤリと口角を上げ、妖しげに笑った。
「やったー♡」
「ちょっ…待っ」
「高熱のせいだと思うが…意識が朦朧として、言動が幼くなっていたんだぜ、お前。」
「……全く記憶にナイヨ…」
「…で、いきなり抱きついてきて」
「⁉︎」
「ひゃー♡」
ローは真鈴に近づき、ベポにも聞こえる声で言った。
「可愛い声で…“ろぉだいすきー♡”…って、何回も…」
「キャー♡」
「!!!!?」
真鈴の顔が真っ赤になった。
今にも湯気が上がってきそうだ。
「アレですね‼︎ いつもは心の奥にしまっている、秘密の気持ち…ってヤツですね♡♡」
「いやぁあああああ!!!?」
真鈴は頭から布団をかぶった。
「…なんだ、そんなに俺のことが好きなのかァ?」
ローはニヤニヤ笑いながら、真鈴の頭(…であろう場所)をつついた。
「〜っ‼︎」
「図星みたいですねェ〜♡」
ベポもニヤニヤ笑っている。
「……まぁ俺も…真鈴のこと、だいすきだけどな…」
『‼︎』
ローはボソリと恥ずかしい台詞を呟いた。
「も〜♡ ラブラブですね、2人共っ♡」
ベポは2人を茶化すように言った。