第20章 力の代償
「‼︎ 真鈴さん目を覚ましたのですか⁉︎」
「あァ。…だが…」
ベポに体温計を見せた。
「ええええええ⁉︎ 40℃越え⁉︎」
「謎の高熱だ…。とりあえず、汗かいているからふくぞ、手伝え。」
「ラジャー‼︎」
真鈴を抱き起こし、先ずは彼女の額と首元の汗をふいた。
(これだけ汗かいているのだったら背中も相当…)
真鈴の背中をふこうと、背中のチャックを下げた…が。
(……ヤバい、かも)
背中があまりにも綺麗だったので、思わず触れたくなってしまった。
「…っ、ベポ、後は頼む」
「? いいですけど…」
顔を背けたローからタオルを受け取り、真鈴の背中をふいた。
その様子をローはチラチラ見ていた。
(………キャプテン、もしかして)
「…ムラムラしちゃってます?」
「‼︎ し、してねェ…」
ビクン、と反応したかと思いきや、否定するロー。
頰がほんのり赤いのでベポが言ったことは図星だろう。
「キャプテン…病人相手ですよ……」
「だからしてねェって‼︎」
ベポはじと、っとローを疑わしく見つめていた…その時。
「…んっ……」
『‼︎』
真鈴が小さく唸り、目を開いた。
ローは顔を元に戻し、真鈴の顔を見つめた。
「真鈴‼︎」
「真鈴さん‼︎」
真鈴の視界はまだぼやけていて、誰がいるのかいまいち分からない。
…が、だんだんモヤモヤした形のものがはっきり見えるようになった。
「…ロー……と、ベ…ポ……?」
数時間振りに聞いた真鈴の声に、ローは心を跳ね上がらせた。
「…やっと目ェ覚ましたか……っ」
ギュ、と真鈴を抱きしめた。
「真鈴さん、無理しちゃ駄目じゃないですか‼︎ もう夜になりましたよ⁉︎」
「ゔ……ごめん、なさい…」
「…もう自分が気絶するまで、この能力使うんじゃねェぞ…‼︎」
「…うん」
「…心配していたんだぞ」
「うん…ありがとう」
「………よかった…」
抱きしめる力を強めた。
「ろ、ロー、ちょっと苦し…」
「…るせェ、黙って…いや、なんか喋れ」
今の今まで気を失っていたので、一言も話さなかった真鈴を、ローは少し怖く思っていた。
今は声を聞けるだけで安心する。