第20章 力の代償
…夕食後。
ローはすぐ部屋に戻ってきた。
そして、真鈴がいる寝台に近づいた。
「⁉︎」
…真鈴の体勢が変わっている。
ローは部屋を出る前、真鈴を仰向けに寝かせ、彼女の胸元まで布団をかぶせておいたのだが、今は布団の中に包まって横になっていた。
…ドクン、と心臓が高鳴った。
「…真鈴⁉︎ 気がついたのか⁉︎」
勢いよく布団を剥いだ。
「ー…ぅ”…」
真鈴は小さく唸った。
顔を見ると、苦悶の表情を浮かべていた。
「…真鈴?」
ローは真鈴の声(唸り声だが)を聞けたので、少し心が和らいだが、彼女の苦しそうな表情を見て、また心が締め付けられた。
「うぅ…」
真鈴の様子がおかしい。
顔を紅潮させており、なんだか暑そうだ。
「…まさか、」
ローは真鈴の額に手をあてた。
「熱っ⁉︎」
…真鈴は高熱を発症させていたのだった。
「糞…目ェ覚ましたかと思えば、次は熱…‼︎ …おい、ベポ‼︎」
「ーはいなんですかキャプテン‼︎」
ベポを呼んだ数秒で部屋の扉が開き、ベポが現れた。
「今すぐコップ一杯の水、タオル×3枚で一枚は湯で濡らしたヤツを持ってこい‼︎」
「⁉︎ な、何があったか知りませんが、分かりましたっ‼︎ 今すぐ持ってきます‼︎」
ベポは風のように一瞬で部屋から消えた。
「何故いきなり熱が…‼︎ これも“力の代償”なのか…⁉︎」
「ゔ…ぅ…」
真鈴は高熱に唸らせられ、苦しそうだ。
ローは体温計を探しに、一旦真鈴の元から離れた。
…棚から体温計を見つけ、再び真鈴の元へ戻った。
丸まっている真鈴の身体を仰向けにさせ、上着を脱がせた。
「…失礼するぜ」
真鈴の脇を軽く開き、体温計を差し込み、挟んだ。
かなり露出度が高い服を着ていたが、そこについては触れると止まらなくなりそうなので気にしないようにした。
…体温計が鳴ったと同時にベポが戻ってきた。
「キャプテン持ってきた‼︎」
「あァ…っ⁉︎」
体温計が示していた温度はー…
「40.8℃…⁉︎」
まさかの40℃を越えていたのだった…。