第19章 未知の火山島
「しょうがねェだろ。我慢しろ」
「でも…皆に迷惑がかかっちゃ」
「大丈夫だ。お前は働きすぎだ、色々。休める時ぐらい休みやがれ」
「うわっ‼︎」
真鈴の両肩を押し、後ろに倒れさせた。
ボフーン
「…っちょ‼︎」
真鈴が起き上がった時、ローは扉の前にいた。
「俺はあいつらにそろそろ島を出ることを伝えてくる。…すぐ戻るからジッとしとけよ」
ローはそう言って部屋を出ていった。
部屋の中が静寂に包まれる。
「3日も手伝えないの…いやだな…なんとかならないか……あ」
真鈴は自分の手を見つめた。
(“清者”の能力でなら…‼︎)
「…あ」
真鈴は思い出した。
自身に能力を使う時は、いつもより5倍の力が必要なのだ。
…自分はそんなに体力がない。
「…でも、出来ることならやった方がいいし…」
(これくらいの傷…前みたいにフラつくだけで済むかな…)
「…ものは試しだ」
真鈴は包帯を丁寧に取っていく。
が、中々解けない。
「…どんだけ巻いてるのよ」
…やっと包帯が取れた。
傷が露わになる。
「まだちょっと血ィ出てるか…」
(前よりひどそうだな…1日眠るぐらいかな。まぁ3日動けないよりもマシ…か)
「…手紙書いておこう」
ローが帰ってきた時、倒れていたら心配されてしまう。
それも約1日眠り続ける(予定)のだからなおさらだ。
…たまたま机の上にあった紙にバーっと今から起こることを書き記した。
「よし、じゃあ…」
真鈴は傷口に手をかざした。
手の周りが淡く光りだす。
「ーっ、」
ビチビチ、と音を鳴らしながら傷が塞がっていく。
その度に頭痛が酷くなる。
視界が白くなってきて、意識を保つことが難しくなってきた。
「ーっああああっ‼︎」
最後の力を振り絞った。
傷は完全に塞がり、跡形もなく消えた。
「…っあ……やっぱり、しんど…い……」
(このくらいの傷でこんなに力使うんだー…)
真鈴はそのまま意識を手放し、寝台に倒れこんだ。
…その数分後、ローが部屋に戻ってきた。
「おいちゃんとジッとし…」
寝台の上に倒れている真鈴を見つけた。
「…真鈴?」
返事はない。
そしてローは、ある大事なことに気がついた。
床に…血がついた包帯があったのだ。