第19章 未知の火山島
「うん…。」
「…一回船に戻るぞ。治療する。」
「え…」
「血が出てるだろうが。」
「ん…まぁ…そうだけど…」
(…能力……使っちゃダメかな…)
傷の具合が酷いならば、能力は使わない方がいいが、この能力を自分に使ったのはあまりなく、加減がわからない。
怪我の加減を診るために、傷口に手をかざした。
「ー止めろ‼︎」
「‼︎」
ローがその手を払い除けた。
「またフラつく羽目になるぞ…‼︎」
ローは前、真鈴が自分に能力を使い、フラフラになったことを恐怖に思っていた。
しかも今回は前より傷がひどい。
能力を使えば…後は分かりきったこと。
「…分かったよ、止めとく。」
「それでいい。…船行く…ぞっ」
「ひゃあ⁉︎」
ローに抱き上げられた。
お馴染みのお姫様だっこで。
「“ROOM‼︎”」
光速で岩と場所を入れ替え、あっと言う間に船に着いた。
そのままローの自室へ向かう。
「…すご、い」
「何がだ?」
「ローの能力‼︎ 人バラバラにさせるわ、モノとモノの場所一瞬で入れ替えるわ…」
「そうか? …俺はお前の能力の方がすげェと思うが。」
「そんなことないよ…」
ローの自室に入り、真鈴を寝台の縁に座らせた。
「ちょっと待ってろ。」
ローは薬棚を漁り、消毒液と小さな布、包帯を取り出した。
真鈴の前に跪く。
「少し滲みるかもしれねェが…」
「うん……っつ‼︎」
小さな布に消毒液を染みさせ、傷口にポンポン、と数回あてた。
そして、乾いた布でまた数回あて、包帯を巻いた。
「包帯は大げさなんじゃ…」
「またコケたらどうするんだ。」
「うぐ…でもこれじゃ歩けないじゃん…」
「しばらくジッとしとけ。3日ぐらい」
「3日⁉︎ そんなことに⁉︎ え、じゃあ料理も何も手伝えないじゃない‼︎」
「動いてまた血が出たらどうするんだ。…あと、お前がコケて血がついたところ、溶岩になっていたぞ。」
「?」
真鈴は首を傾げた。
「…お前の“血”は、自然のものの能力も上げるんだよ。あそこの地面…というか岩か。元は溶岩だ。…冷え固まった溶岩が若返ったんだろ、お前の“血”で。岩じゃなくて溶岩そのものの能力に戻したんだよ…」
「…‼︎」
(自然のものもそうなるんだ…じゃなくて‼︎)
「3日も動けないのイヤなんだけど‼︎」