第19章 未知の火山島
「ちょ…なんで?」
「…溶岩が湧いているかもしれねェ。」
「え…」
一気に真鈴の顔が青ざめた。
「島のそばのものは…触れねェ方がいいかもな」
「え…せっかくの珍しい海なのに…」
「我慢しろ。火傷されちゃあテメェが困るハメになるぞ」
「…ソデスネ。……あ‼︎」
真鈴がある方向を指差した。
「あそこに浅瀬がある…‼︎」
「…そうだな」
「カニとか、フジツボとかイソギンチャクいないかな〜?」
「……いるか? 海水が暖けェのに…」
「…いるかな」
真鈴は浅瀬に向かって駆け出した。
…が、途中、岩に靴が引っかかり、身体のバランスが崩れた。
「あ⁉︎」
「⁉︎ “ROOM”、“シャンブ”」
…わずか数秒、間に合わなかった。
真鈴の身体は前方へ倒れた。
ズシャッ
「痛っ‼︎」
「ーっ‼︎」
ローは真鈴に駆け寄り、抱き起こした。
「大丈夫か⁉︎」
「いてて…大丈夫、だと思うけど…あ」
膝を見ると、右膝小僧のあたりの服が破れて擦り傷が出来ており、そこから微量の血が流れ出ていた。
「……やっちゃった…」
おそるおそるローの顔を見た。
「…この、馬鹿‼︎ 何やってんだ、気ィつけろ‼︎」
ローは声を荒げた。
表情も、いつもにも増して険しい。
「ご、ごめんなさい…」
「…ッチ……おい、膝貸せ」
「? …っキャ⁉︎」
ローが傷口を舐めた。
唾液が傷口にしみ、鈍い痛みが身体に走った。
「ロー…っ‼︎」
「うっ」
ローの身体がビクン、と反動し、ビリビリと痺れるような感覚がする。
それが身体中に何かが行き渡った。
「血…舐めたら、また能力が増しちゃうよ…?」
「…っい…いいじゃねェか」
「あんまりたくさん血、摂ると……段々反動が大きくなって、自分じゃ抑えきれなくなっちゃう…‼︎」
「‼︎」
ローは思い出した。
“清者”の“血”には…難点があった。
“血”を摂る度…身体への負担が大きくなるのだ。
最初はどうってことはないのだが、回数を重ねる度に、反動が大きくなっていく。
電気で痺れたような感覚が身体中を駆け巡るのだ。
…実際、今“血”を摂った時、前より強い痺れを感じた。
「…もう、飲んじゃ駄目。傷ついている時は別として…」
「…分かった。俺も身体壊してまで、お前の能力に頼りたいわけじゃねェ。」