第17章 シャチの想い
「な、なななな…っ⁉︎」
ゆでダコのように身体全体が真っ赤になった。
「やっぱり? やっぱり? さすが船長だな♡ 昨晩、ベポが部屋に飛び込んできたからさー」
「やっぱり、じゃない‼︎ …そんなの、シて…な、い」
首を横にブンブン振る。
(ベポが昨晩慌てて部屋を出ていった原因って…コレか‼︎ なんつー勘違いしてくれてんのよ…っ‼︎)
「え⁉︎ 逆に契ってないの⁉︎ あの船長が⁉︎」
「ど…堂々と大きい声で言うんじゃなーーい‼︎」
「ーぐえっ‼︎」
シャチを後ろに突き飛ばした。
そのまま後ろ向きに倒れた。
「あ、ごめん…やりすぎた」
「痛ェ…」
…ローがザマァミロ、と思っていたのは別のお話。
シャチは自力で立ち上がった。
「なんだ…ヤってねェのか…」
(船長まだ手ェ出してないんだ、珍しい……って、アレ? じゃあ首についてる“マーク”は何故?)
「だから…っ」
「はいはい、分かった分かった‼︎ …で、あのさ、話変わるけど、真鈴ちゃんって船長のどこに惚れたの?」
「ぶっ…⁉︎」
シャチはこれまたブッとんだ話をしてきた。
「恥ずかしがらねェで大丈夫だって‼︎ 朝早ェから誰も起きてねェよ‼︎」
…すぐそばに1人隠れていますが。
しかもロー本人が。
「言ったって、誰にも言わねェよ?」
「それはー…シャチのこと信じてるから分かってる」
「そ、そりゃどうも…」
シャチは照れくさそうにポリポリと頬をかいた。
「…で、どーなの?」
「い、言わなきゃ駄目?」
「うん」
満面の笑顔。
「…仮にもさっき告白してきた人に?」
「お、俺が聞きたいだけだ‼︎ 別にいいだろ⁉︎」
「あー…うん、はい」
「じゃーどうぞ」
少し間を開け、真鈴は話しだした。
「…私、は…ローの優しいところに惹かれたかな…何気に優しいんだよね…一見ぶっきらぼうにみえるけど…。あと、一緒にいて…なんか、あたたかい…から、かな」
恥ずかしそうにうつむきながら話した。
「船長のこと、大好きだねェ〜♡」
「〜っ‼︎」
真鈴はぷいっとそっぽを向いた。
…その頃、真鈴の心の声を聞いたローはというと。
(……んだよ、それ…っ)
さっきの嫉妬心はどこにいったのやら、心臓がはち切れそうなくらいドキドキしていた。