第16章 ベポの勘違い←
「…戻ってこねェな。」
「うん…」
扉から入る月の光が、淡く部屋を明るくさせる。
「…“ROOM”」
真鈴達の周りに薄い半円の膜が広がる。
「‼︎」
「“タクト”‼︎」
バコン‼︎
扉が枠の中に収まった。
…ローは緩やかに伸ばした腕を降ろした。
「…寝るぞ。修理は明日ベポにさせる。」
「……うん」
(ローの能力って…何か不思議だな。…また今度詳しく聞こう)
再び横になろうとした…が
「…ちょっと待て」
「?」
ローに止められた。
「何…んぅっ‼︎」
真鈴の後頭部を掴み、引き寄せ、唇を重ねた。
「…おやすみ」
ローは真鈴の顔を見てニヤリと笑い、横になった。
「〜っ‼︎」
(最後の最後まで…っ この人は…っ‼︎)
「…全く、もう……おやすみなさい」
真鈴は顔を赤くさせながら身体を横たえ、眠りについた。
…一方、船員の部屋に逃げ込んできたベポは。
船員(1)「なんでベポが⁉︎」
「だって、だってさ…」
ペンギン「言いてェことは大体分かるけどさぁ…」
布団に丸まり、イモムシ状態のペンギンは話を続ける。
ペンギン「……アレだろ、船長と真鈴ちゃんが…」
シャチ「…グスン」
船員(1)「…お前いい加減立ち直れよ」
シャチ「分かってる…」
船員(1)「そこのお前もだ」
船員(7)「うぐっ…お、俺はもう諦めてる…から大丈夫だ」
船員(1)「…ならいいが。」
シャチ「…俺は諦めてねェぞ」
ペンギン「死に(殺され)たいのか?」
シャチ「……。」
ペンギン「諦めろ」
船員(3)「…そーゆうペンギンだって、ちょっと真鈴ちゃんのこと気にかけてるくせに(ボソッ)」
ペンギン「‼︎」
船員(3)「痛ェ‼︎」
ペンギンが船員(1)を殴った。
ペンギン「なんか言ったか、あ?」
船員(3)「な、なんでもございません。さぁ、お眠りになりましょう‼︎」
シャチ「?」
船員(6)「なんで俺の隣ベポぉ…」
船員(2)「…っあ”〜つべこべうるせェ‼︎ さっさと寝ろ‼︎ 寝てェ奴が寝られねェじゃねェか‼︎」
今の今まで、うるさいのを我慢してきた船員(2)が声を張り上げた。
『すみませんでした』
船員(2)「おやすみ」
…船員達も眠りについた。