第16章 ベポの勘違い←
…数十分後。
「…。」
真鈴はまだ寝ていなかった。
ベポが戻ってくるまで、待っていよう、と思ったのだ。
その間、ローのことについて考えていた。
(…ローったら、下行ったら“こんなこと出来ねェ”って言ってたクセに、堂々とやってんじゃん…‼︎)
首筋につけられたローの“印”をそっと撫でる。
“次は脱がされる覚悟しとけよ…?”
トクン、と胸が高鳴った。
(ことが早いよ…でもさっき、恐怖よりドキドキの方が強かった…)
もしかしたら、次はもう大丈夫かもしれない。
…そんなことを考えていた。
…しばらくして。
ベポが戻ってきた。
そろりと扉を開け部屋の中に入り、扉を閉めた。
(暗い…寝てるね、2人共)
抜き足差し足で部屋の中を進んでいく。
寝台の前まできた。
そーっと寝台を覗き込んだ。
「…⁉︎」
そして、半裸で寝ているローを見つけた。
(キャ、キャプテン⁉︎ な、なんで裸…⁉︎)
布団をお腹より少し上にかけていたので、ベポから見たら、裸で寝ているように見えたのだ。
ベポはバッと後ろにずり下がった。
ギシ…
床が鳴った。
その音で、いつの間にか寝ていた真鈴が起きてしまった。
(あ…私、いつの間に寝て…って、ベポ‼︎)
「んぁ…ベポ、いつの間に…?」
真鈴が起き上がー…れなかった。
ローが抱きついてきたのだ。
「ちょ…ロー止め…」
その瞬間、服が少しズレた。
「!!!!!」
(キスマークが増えてる…‼︎ しかも真鈴さん涙目‼︎ キャプテン裸‼︎ …ということは…)
…涙目なのは起きたてだからです。
(ヤって……た⁉︎)
※完璧な勘違いです。
ヤってません。
ポーッと頭が湧き、ベポの顔が一気に赤くなった。
「す…すみませんでしたぁぁぁぁぁ‼︎」
「ベポ⁉︎」
ベポは扉を勢いよく開け、部屋を飛び出していった。
「なんだ⁉︎」
ローが今の音で目を覚ました。
身体を起こす。
…ちなみに手は繋いだまま。
「今の…ベポか?」
ローは開きっぱなしの扉を見て言った。
「うん…何故か謝りながら飛び出していっちゃった」
「謝りながら? 何故」
「そんなの…知らないよ」
「…だろうな」
それからしばらく扉の方を見ていたが、ベポはいっこうに戻ってこない。