第16章 ベポの勘違い←
“予定変更だ。…服は着ねェ”
「…は⁉︎」
「この船は野郎ばかりだしな…他の奴らにも、そんな反応されては困る。…お前に、“男”ってもんに慣らさなきゃいけねェなァ…」
ローは真鈴のかぶっている布団を剥がした。
「⁉︎」
まだ顔が赤い真鈴を見て、ローは口角を上げた。
「今日はこのまま寝る。そんなに寒いわけじゃねェしな」
「ちょっ…‼︎」
ベットに上がり、真鈴の横に寝転んだ。
逃げようとする真鈴を捕まえ、引き倒し、布団をかぶせた。
…真鈴は反射的に、ローに対して反対を向いた。
「おい…こっち向いてくれねェのかよ」
「無理‼︎」
「む…」
「きゃっ⁉︎」
真鈴を後ろから抱きしめた。
ローは服を着ていないので、真鈴の首やら腕にローの体温が直に伝わってくる。
心臓の音も聞こえてきた。
興奮しているのだろうか、鼓動が速いような気がする。
「…寝転んでたら、抱きしめにくいな…」
ぎゅう、と腕に力を入れた。
真鈴の鼓動も速くなってきた。
心臓がバクバクと痛い程鳴り響く。
「ロー、は、離してよ…」
真鈴は身をよじった。
「離さねェよ…」
「…っ‼︎」
甘い声で、耳元で囁かれた。
瞬間、ゾクリと背中に何かがはしった。
「…電気消すぞ。」
「…う、ん」
電気が消え、辺りが真っ暗闇に染まった。
…電気を消した途端、真鈴が身震いした。
「…やっぱり、怖ェか? くっついていても」
「大丈夫、よ…いきなり消えたから、目が慣れていないだけ…」
(…何嘘ついてんだろ、本当は怖くて仕方が無いのに)
真鈴の目の前には、ただ闇が広がっていた。
時間と共に、恐怖心だけが増していく。
(シャチから貰った巨大ベポ人形、持ってくればよかった…‼︎)
再び身体を震わせた。
「……おい」
「…なに?」
「こっち向けよ。さっきから身体震わせやがって…そっち何もねェから怖いんだろ?」
真鈴は身体を縮こませた。
ローが無理矢理真鈴の身体を反転させる。
真鈴の目にローの裸体が映った。
「…っ‼︎」
反射的に目をつむった。
「目ェ開け…もうお前の前に闇はねェ。…俺がいる」
「…‼︎」
真鈴の額に唇を落とした。