第15章 ヨゾラ島
ガチャリ、と音が聞こえ、後ろを振り返ると、丁度ローが部屋から出てくるところだった。
「…話、伝わった?」
「あぁ。分かったってよ。」
ローがこちらへ向かって来て、対向の椅子に座った。
「…っくしゅー‼︎」
真鈴が盛大にクシャミをした。
「…ごめんなさい、少し肌寒いものだから…」
「‼︎ …ちょっと待ってろ。」
再び立ち上がり、あの棚の部屋に入った…と思ったら、すぐ出てきた。
片手に上着を持って。
「これ羽織ってろ。」
真鈴に向かって上着を投げた。
「わわわっ、危なっ‼︎」
落ちる寸前で見事キャッチした。
「ありがー…?」
上着を広げてみた…が。
「…コレ、ローのじゃない?」
「は?」
明らか、真鈴が着るには大き過ぎる。
「な…確かにお前の服がかかっている所から出したハズだが…?」
「…ベポが間違って入れたんじゃない?」
…ベポは真鈴が来たその日から洗濯当番になった。
前は、他の船員がやっていたのだが、真鈴が女だということを考慮し、(雌)熊にしか欲情が湧かないベポの役目となったのだ。
「まぁ…いいや。戻すのめんどくせェから、それ羽織っとけ。」
…実は、わざと自分の上着を持ってきたのだ。
真鈴の反応見たさに。
「え…けど、ローの」
「俺は気にしねェ。いいから羽織れ。」
「わっ‼︎」
ローに上着を取られ、そのまま羽織られた。
ふわ…とローの匂いがする。
「…どうした?」
「えっと…」
真鈴の顔が赤くなってきていた。
「これ…ローの匂いがして…まるで、ローに抱きしめられているみたい……と思って…」
「…っ⁉︎」
ローは顔を赤くさせた。
心臓がドキドキと不規則に鳴り響く。
それに伴い、真鈴を本当に抱きしめたい、という欲情が湧き起こった。
…赤くなったローを見た途端、真鈴は恥ずかしいことを言ってしまった、と後悔した。
(わ、私ってば、なんてことを口走って…‼︎)
「ご、ごめん…変なこと言った……」
真鈴はカァァ、と頬を赤らめて言った。
ローがすぐそばまで近づいてきた。
「……そんなこと言われちゃ、お前に触れたくなるだろうが…‼︎」
「‼︎」
ローが片手を真鈴の頬にあて、一気に顔を引き寄せた。
「…っ‼︎」