第15章 ヨゾラ島
…しばらく舟番をしていた2人。
たわいもない会話をしながら舟番をし続けていた。
30分ぐらい経ったところで、頭上からまた声が聞こえてきた。
「キャプテンー‼︎」
「あ、ベポが呼んでる」
「…。」
ローは、次は何だ…とでも言いたそうに顔をしかめる。
「…何だー?」
「ちょっとそっち行っていいですかー?」
「何かあったのかー?」
「いいえ‼︎ 何も異常は‼︎」
2人は目を見合わせる。
ローは再び見上げた。
「いいぞー」
「ラジャー‼︎」
スッとベポの姿が消えた。
…かと思うと、すぐそばの扉から出てきた。
「お待たせしましたー‼︎」
「ぎゃあ‼︎ は、早っ⁉︎」
「…で、なんだ、ベポ。」
「ずっと言おうと思ってたんですけど…言いづらくて」
へへへ…と苦笑いしながらポリポリ、と頭を掻く。
「…すみません」
「真鈴さんが謝らなくても…」
「俺が謝れってか…?」
「そーゆー意味でもないですっ‼︎」
ベポはブンブン腕を振り回しながら言った。
(…ヤバイ、可愛い。ベポ可愛い可愛い…)
真鈴はそんなベポを見て和んでいた。
「えっと…話戻しますよ? 今晩、花火が上がるそうなんですよ‼︎」
「花火⁉︎」
「花火か…いいな。」
「…で、丁度あの辺りが綺麗に見えるベストポジションなんです‼︎」
ベポがビシッと指指した場所は、海上だった。
ベポ曰く、船で少し沖に出た方がより綺麗に見えるそうで。
…ちなみに今は夕方の5時過ぎ。
花火が上がるのは、夜7時前。
「…だから、7時までに船戻るように言って、皆で見ましょー‼︎」
「いいね‼︎ そうしよ、ロー?」
「……。」
「…ロー?」
ローは何かを考えているようで、黙りこくっている。
「…………あ。」
ベポが何かを察した。
「え、何?」
「キャプテン……ちょっと耳貸して下さい」
「……あぁ」
「え、え? ちょ、何? 2人して」
「真鈴さんはちょっと待っていてくーださい‼︎」
「?」
ベポがローの肩を組んで、真鈴から離れる。
ヒソヒソ声で話しだした。
「キャプテン……真鈴さんと二人きりで観たいでしょ?」
「なっ……⁉︎」
ローの頬がほんの少し赤くなった。
(あ、赤くなった…やっぱりそうか♡)
ベポはローの図星をついた。