第15章 ヨゾラ島
(コイツ…まさか、犯罪者)
「BB弾の鉄砲(オモチャ)でずっと練習してたからね〜」
「…。」
(…じゃなかったか。)
「…まぁ、私の両親が自衛官だったから、教えてもらった、ってのもあるけど…」
「両親が自衛官⁉︎」
(……見かけによらず、すげェ家に生まれたもんだな…)
…真鈴の意外な事実が明らかになったのだった。
「…今度、銃買いに行くか。お前専用の。」
「え、いいよ‼︎ 本物銃使ったこと無いし‼︎」
「自己防衛用だ。持っとけ。…近くに船員がいつも居るわけじゃねェからな…」
「…はい。」
(人、撃ったこと無いんだけど…まぁいっか。)
少し不安を残し、この会話は終わった。
「それより…取った人形、見せてくれよ。」
「あ、うん。はい‼︎」
真鈴から人形を受け取る。
マジマジと人形を見つめるロー。
「…可愛い。」
「♪」
「……なぁ」
「?」
「このクマ…微妙にベポに似てねェか?」
「言われてみれば…似てる‼︎ ミニベポだ、ミニベポ(笑)」
「ミニベポ……ククッ」
(あ、笑ってる…珍しいな)
2人揃って笑みをこぼした。
「ー呼びました?」
「わっ⁉︎」
「うおっ⁉︎ …ってベポかよ。」
「ベポでスミマセン…」
「…。」
「いきなり話しかけるなよ…驚くだろうが。」
「いやー、たまたまキャプテン見かけたもので…。そしたら、僕の名前聞こえたから、気になって、話しかけてみただけなんですけど…」
「なんだ…そうか。」
「ここまでビックリされるとは思ってなかったですよ〜」
ベポは腕をブンブン振り回しながら言った。
「…。」
(ベポ…女の子、隣にいないけど……フられたのかな…)
…真鈴は驚いたことより、ベポがナンパしに行った女の子がいないことを気にしていた。
「…あと、どれくらいで交代だ?」
「えーっと…あと20分くらいですね。」
「サンキュ。あ、ベポ、お前も一緒にまわるか?」
「いや、僕はー…」
「?」
チラリ、と真鈴の方を向いた。
「“デート”の邪魔しちゃ悪いので、ここでおいとまします‼︎」
『!!!!!』
真鈴とロー、2人の顔が赤くなった。
ベポはニヤニヤ笑いながら、
「ではー‼︎」
…と言いながら人ごみの中に消えていった。
「あっ、ちょっ…ベポ⁉︎」
「行っちゃった…」