第15章 ヨゾラ島
「ロー? どうし…あ」
真鈴は自ら大胆なことをしていることに気がついた。
「ごっ…ごめんなさい‼︎」
ローに差し出していた林檎飴を引き戻した。
(私ったら、何して…っ‼︎)
「ごめんなさいスミマセンごめんなさい…っ‼︎」
「そんなに謝らねェでも…」
「だって…‼︎ ごめんなさい、不快な思いさせて…‼︎」
不快、と聞いた瞬間、ピクリとローが反応した。
「別に……不快、じゃなかった、し…」
「…っ⁉︎」
(それはどういう意味…⁉︎)
ドクン、と心臓が高鳴る。
「…旨ェな、“林檎飴”。」
ローが話をそらすかのように言った。
途端、真鈴の表情が明るくなった。
「でしょ‼︎ …あ、でもロー、まだ飴しか食べてない…」
真鈴はしばらく林檎飴を眺め、またローに飴を突き出した。
「?」
「こっち、私くち付けてないとこだから、食べていいよ?」
「‼︎ …いや、いい。元々お前のだ。食えよ。」
「林檎飴は林檎食べなきゃその価値が分からないよ⁉︎」
「…。」
(なんじゃそりゃ…)
「いいから、はい‼︎」
無理矢理ローに手渡した。
「…。」
仕方なくローはひとくち飴をかじった。
飴が割れ、中の林檎が現れた。
割れた飴を舌の上で転がす。
程よい甘みがくちに広がった。
「…この飴、甘ェな。旨いが。」
「林檎と一緒に食べてみて‼︎」
シャリ。
「…旨っ」
「でしょ〜♪」
「…欲しくなってきた。俺も買おうか…」
ちょうど目の前に林檎飴の屋台があった。
ローは店に入り、林檎飴を一つ買って戻ってきた。
「ロー、こっちあげるよ。私はひとくち舐めただけだけど…ローはもうかじっちゃったから。」
「…あぁ。そうするか。」
新しく買った飴を真鈴に手渡した。
「…あ、私舐めたとこ…ティッシュか何かで拭いてから食」
「別にこのままでいい。」
そう言うとローはまた飴をかじった。
「っ⁉︎」
(なんで…なんで気にしないの?)
真鈴の頬は赤くなっていた。
「…うん、やっぱり旨ェ。」
「…。」
よほど気に入ったのか、ローは林檎飴を食べ進める。
(…まぁ、ローが気に入ってくれたからいっか。)
真鈴は心の中で結論づけ、自分のを食べ始めた。
「やっぱり美味し…♡」