第15章 ヨゾラ島
〜真鈴、ロー、ベポサイド〜
…といっても、今、真鈴とローの2人っきりなのだが。
ベポは、「可愛い雌熊ちゃん見っけー‼︎」…と言って、どこかへ行ってしまった。
「うっわ〜、すごい‼︎ 屋台が沢山‼︎ 楽しそう…‼︎」
…真鈴はベポがいなくなったことを、あまり気にしていなかったが。
(…これが、俗に言う“お祭りデート”か?)
…なんて、ローは少女らしい可愛いことを考えていた。
屋台に目がいっている真鈴と大違いだ。
(…にしても、すげェ人だな…。)
ローの言う通り、人がすごい。
少し目を離しただけで、見失いそうだ。
「おい…はしゃぐのは構わねェが、はぐれるなよ。」
「‼︎」
真鈴の動きが止まった。
(はぐれたら1人…)
…次の瞬間、真鈴はローの服の袖を掴んだ。
「‼︎」
「……はぐれたらイヤだから、こうしてていい…?」
フードでよく見えないが、きっと頬を赤く染めているだろう。
「あ、あぁ…。だが…」
「?」
の手を払った。
「…服が伸びちまう。こ…こっちに、してくれ…」
ローは払いのけた真鈴の手を再び掴み、指を絡ませた。
「⁉︎」
「…こっちの方が、確実だろう? …絶対はぐれねェよ。」
ローは動揺しつつ言った。
顔がほのかに赤くなっている。
「う、うん…」
繋いだ手が暖かい。
お互いの熱が伝わる。
ローは繋いでいる手に力を入れた。
「…歩くぞ。こんな所で止まっていたら邪魔だ。」
「は…はい‼︎」
真鈴は手を握り返した。
2人は再び歩きだした。