第14章 “癒しの唄”
…約1時間後。
真鈴は朝食を作り終えた。
(意外と早く終わっちゃったな…。)
何しよう、と考えながら部屋の中をうろつく。
…が、することを思いつかず、外に出ることにした。
扉を開けると、心地良い風が吹いてきた。
…船の縁近くに移動する。
風が真鈴の髪の毛をなびかせた。
(…そうだ‼︎ 久々に歌でも歌おうかな〜…)
大きく息を吸った。
そして、まだ寝ている船員達を起こさないように、やや小さめな声で高らかに歌いだした。
「♪ー……よしっ…。♪♪♪〜…」
真鈴の歌声が、船の周りの海や空に響き渡る。
「♪〜♪〜…♪♪〜〜」
船の上空にカモメが集まってきた。
その中の1匹が真鈴のすぐそばの、船の縁に着地した。
真鈴は歌いながら、そのカモメの首筋を撫でた。
カモメは満足そうに、また群れの中に飛び去っていった。
「♪♪♪〜♪♪♪♪〜」
船の一室から船員が1人出てきた。
シャチ「⁉︎」
「♪〜♪♪♪〜〜♪〜♪〜」
シャチ「すげェ…綺麗な歌声だな…」
シャチは朝食の準備の為に起きてきたのだ。
…が、そんなことも忘れて、真鈴の歌声に聴きいっていた。
彼女はそんなシャチに気がついていない。
そのままの調子で歌い続ける。
「♪♪♪〜♪♪♪〜♪〜♪♪〜」
シャチは部屋を開けっ放しにしていたので、日の光が、真鈴の歌声が入り、次々と船員達が起きてきた。
小声でシャチに話しかける。
船員1「…こんな朝っぱらから、何してんだ?」
シャチ「天使の美声を聴いているんだ‼︎ 聴いていると、なんか心が落ち着くよ…」
ウットリとした顔で言った。
「♪〜♪♪〜♪…♪〜」
船員1「そうだな…」
こちらの船員も、ウットリして真鈴の歌声に聞き入っていた。
…後ろから続々とギャラリーが集まってきた。
ベポも起き、ローも何かしら気配を感じて起き、部屋から出てきた。
ロー「アイツ…?」
ベポ「わぁ…‼︎」
「♪……♪〜〜♪♪♪〜♪〜」
…2分後。
真鈴は歌い終えた。
「♪〜……♪、♪〜〜〜〜………」
(今日は声の調子がイイや♪ 楽しかった〜)
真鈴が一息ついた、その時。
『ウォォォーー!!!!!』
「⁉︎」
船員達が拍手喝采し始めた。