第14章 “癒しの唄”
…ちなみに、ローが早寝した理由は。
疲れている、ってこともあったが、
(…やばい、何か変な気持ちに…)
真鈴を抱き寄せた時、彼女の髪からいい匂いが鼻をくすぐり、欲情が芽生えたのだった。
ローの身体に当たる真鈴の身体も柔らかく、暖かい。
(…余計なこと考えねェで、さっさと寝よう…)
…ということで早寝したのだった。
…次の日。
真鈴は早い時間に目が覚めた。
まだ他の2人は起きていない。
「……んー…」
目の前にローの胸元が映った。
「ひゃ…⁉︎」
後ろに引き下がった。
スルリとローの腕が自分の身体から落ちた。
(そうだった…怖いから、抱きついて寝てたんだ…。)
…正確に言えば、ローが引き寄せたのだが。
昨夜のことを思い出し、頬を赤く染めた。
(そう言えば…今何時?)
時計を見る。
只今、5時前だ。
起床時間より2時間早い。
(…早く、起き過ぎた。)
もう一回寝ようとしても、目がパッチリと覚めていて、寝られない。
「うーむ…」
(どうしよ…あ。)
まだ寝ている2人を起こさないように、ゆっくり寝台から降りた。
(…朝ご飯、先作っといちゃおっと‼︎)
そーっと部屋を出る。
昨晩は船を海上に上げていたので、すぐ部屋を出ることが出来たのだ。
「ーっ‼︎」
朝日が真鈴を照らす。
空模様は微妙だ。
晴れているが、少し雲がかっている。
真鈴は扉を閉め、手を組み、その手を上に伸ばした。
「ん〜……っはぁ。…よしっ‼︎」
(まず、身支度を終わってからだ、朝飯作るのは。)
洗面所に入り、歯磨き、洗面、髪を整えた。
ちなみに今日は、髪を上部で一つにくくり、ポニーテールにした。
鏡を見て、おかしなところがないか探す。
(…よし、完璧。久々に上手く出来た〜♪)
軽くスキップしながら調理場に向かった。
…調理場がある部屋の扉を開く。
…が、案の定、誰もいない。
「さぁてと、作るか…‼︎」
(今日のお味噌汁の具材、何にしよっかな〜)
材料を倉庫から取り出し、調理を始めた。