第13章 海賊生活、その1
…しばらくして。
真鈴の身体の震えがほとんどなくなった。
「…もう大丈夫か、話せるか?」
「…うん、落ち着いた。…ありがとう、ロー…」
(あと、もう少し…もう少し、ローが来てくれなかったら、おかしくなってた…。ローが来てくれて、よかった)
腕を解き、ローから離れようとする。
…が、ローはまだ真鈴を抱きしめたままだったので、離れられなかった。
「…。」
「‼︎」
ローは真鈴の頭をポンポン、とたたき、真鈴から少し離れた。
そして、真鈴にとって衝撃的なことを告げられた。
「…ベポ、電気つけてくれなかったのか?」
「……な、」
「え?」
真鈴は目を見開いている。
先程まで泣いていたので、目は赤かったが。
「な…電気、あったの⁉︎」
「あァ。…ココに…。」
ローは部屋の外にあるスイッチを押した。
電気がつき、部屋全体がほんのり淡く、明るくなった。
「……ベ、ベポぉ…」
真鈴は脱力し、その場でへたり込んだ。
「ベポには後で言っておく…とっさだったとはいえ、すまなかった…」
「…うん。」
「……。」
ローは真鈴に近付き、手を差し伸べた。
「…ほら。」
「?」
「…立てよ、いつまでもこの部屋にいたくねェだろうが。」
「‼︎」
ローは無理矢理真鈴の腕を引っ張り、立たせ、そのまま真鈴を自分に抱き寄せた。
「っ⁉︎」
ドクン、と真鈴の心臓が跳ね上がった。
動悸が速くなる。
「…っ」
「…歩けるか?」
顔を覗き込まれた。
ボッ、と顔が熱くなった。
「…っあ、うん…」
顔をそらした。
ローの顔をまともに見れない。
顔だけでなく、ローが触れている場所全てが、燃えるように熱くなっていく。
(……ずっと思っていたけど…私、やっぱり…こんな気持ちになるなんて…)
ふっ、と急に目の前が暗くなり、床にへたり込んだ。
「おい⁉︎」
(ローのことが…好きなのかな…)
そう思ったまま、意識を手放した。