第13章 海賊生活、その1
(やっぱり気付いて…⁉︎)
「…隠してねェよ。…というか、早く行かねェのか? テメェが外に出るのは、よっぽどのことがあったんだろ?」
「…まぁな。」
サングラスをかけているので分かりづらいが、ローに疑いの目を向けているのがよく分かる。
その時、誰かのデンデン虫が鳴った。
「あァ? …俺か」
ドフラミンゴはポケットからデンデン虫を取り出した。
「なんだ。…………あァ。………分かった。じゃあな」
デンデン虫を再びポケットにしまう。
「じゃあな、ロー。…そうだ、お前ェ、一回くらい俺の国に来たらどうだ?」
「……気が向いたらな。」
「あァ。」
ドフラミンゴはそう言うと、南の空へ消えていった。
…ローは、ドフラミンゴの姿が見えなくなるまで見続けていた。
(“清者”に気付いていねェのか? …いや、アイツのことだ、おそらく気付いているだろうな…)
対策を練らねば、と思いつつ、真鈴を隠した部屋に近付いた。
扉を数回叩いた。
「真鈴、出てきていいぞ。」
鍵を開けた。
…が、出てこない。
「…おい?」
ローが部屋に入るとそこには、暗闇が広がっていた。
真鈴の姿が見えない。
「⁉︎ おい、真鈴⁉︎」
「…………ろ、」
「‼︎」
小さいが声が聞こえた。
その方向を向くと、膝を抱えて丸くなっている真鈴の姿を発見した。
顔を少し上げて、ジッ、とローの顔を見ている。
真鈴の目には涙が浮かんでいた。
「真鈴‼︎」
真鈴に駆け寄る。
目尻に溜まっている、彼女の涙を手で拭った。
「お前っ…何で泣いて……あ」
(こいつ暗い所駄目なんだった…‼︎)
「…だい、じょうぶ…だか、ら。ふふ、ふ…」
様子が明らかにおかしい。
「…っ‼︎」
ローはとっさに、ガタガタ震える真鈴を強く抱きしめた。
「あ……」
「……すまねェ…こんな暗ェ所に一人にして…」
再び強く抱きしめる。
(…ロー、きて…くれた……あったかい、安心する………)
真鈴の身体の震えが収まってきた。
身体の力が抜け、ローに全体重をかけた。
ローの背中に腕をまわした。
わずかながら、力を入れた。
…しばらくの間、2人は抱きしめあったままでいた。