第13章 海賊生活、その1
後ろを振り向くと、そこには、風呂上りのローが立っていた。
髪がまだ濡れていて、頬や露わになっている首筋がほのかに赤い。
…色っぽい。
何気に色気を感じとってしまった。
(何考えてんだ、私は…⁉︎)
…ローが隣に来た。
「…っ」
いい匂いが鼻をくすぐる。
「何しているんだ? こんな所で…」
ローは髪をタオルでガシガシと乱暴に拭く。
本来のはねっ毛が戻ってきた。
「え…えっと…星、見てた。空見てたら…天の川っぽいのが見えたから…」
「へェ…」
ローは空を見上げた。
「…? どこにあるんだ?」
「え、あるよ‼︎ 目の前‼︎」
真鈴も空を見上げた…が、空は曇り始めており、星があまり見えなくなっていた。
「ありゃ…曇っちゃった…さっきまで綺麗に見えていたのに…」
「…もう見えねェのか…残念だ。」
ローは残念そうに船の縁に座り掛けた。
「ロー‼︎ 落ちる‼︎」
「落ちねェよ。マヌケじゃあるまいし…」
「…そう?」
「あァ…。」
2人の間に生温い風がとおった。
時間だけが過ぎていく。
…しばらく時間が経ったその時。
「………っ⁉︎」
急に寒気が身体にはしった。
「? ??」
「…どうした?」
「いや…なんか、寒気が…」
「冷えたんじゃないのか?」
「…そうかも。」
「もう寝るか。…行くぞ」
「うん…?」
「? どうし」
「しっ‼︎」
「?」
耳を澄ませてみると、波の音に紛れて、遠くから何かが羽ばたく音が聞こえてきた。
「ねェ…あれ…?」
真鈴が北の空を指差した。
「ひ…人……⁉︎」
「!!!!! …お前っ‼︎ フードは⁉︎」
「え? …あ」
首筋を手で探ってみたが、フードはなかった。
何故なら、今着ている服は就寝用(最初に着ていた海軍服)で、フードはついていなかったからだ。
「な、ない…」
「…っち、糞っ…‼︎」
ローが真鈴を担ぎ上げた。
なにか、焦っているようにみえる。
そのまま走り出した。
「きゃ⁉︎ ちょ、何⁉︎ 下ろ」
「糞…何故アイツがココに…っ⁉︎」
「アイツ? アイツって…キッドのこと?」
(…あの人空飛べるの⁉︎)
「違ェ、ユースタス屋じゃねェ‼︎ …俺がいいって言うまで出てくるなよ⁉︎」
「きゃああ⁉︎」
ローがある部屋に真鈴を投げ入れた。