第13章 海賊生活、その1
「…っ」
(なんだよ…その服は…‼︎ こんなエプロンなんか、この船になかったぞ⁉︎ )
わずかに赤面するロー。
その様子を見たベポとペンギンの2人はニヤリと笑い、軽くハイタッチを交わした。
((船長ドキドキ作戦、大・成・功♡))
「ロー、ご飯どれくらいいる?」
「んー……茶碗一杯。」
「了解ー‼︎」
真鈴はキッチンの奥へと姿を消した。
「船長‼︎ 早く食べましょうよ‼︎ どれもこれもめっちゃ旨いですよ‼︎」(船員4)
「やっぱり女性が作ると違いますねェ〜‼︎ お味噌汁なんか、“母の味”って感じがするっすよ〜‼︎」(船員3)
「ほぉ…それは楽しみだ。」
ローはハシを持ち、煮物に手をのばした。
「…いただきます」
掴んだ里芋をくちに含んだ。
「ロー、ご飯ー…って、もう食べているし⁉︎」
ピタリとローの動きが止まった。
「せ…船長?」(ペンギン)
「ど、どうしましたか?」(船員3)
「…っ」
(くちに合わなかったのかな…⁉︎)
真鈴や船員達がローの様子を見守る。
「…ろ、ロー…まずかったら残し」
「旨ェ‼︎」
『旨いんかい‼︎』
皆その場でずっこけた。
真鈴は胸を撫で下ろした。
(よかった…)
「…これも旨ェな。さすがだな。」
ローは味噌汁を一口含みながら言った。
…微笑みながら。
「〜っ‼︎」
ローの笑顔に胸がキュン、と高鳴った。
「あ、ありがとうございます…っ‼︎」
その後、真鈴は軽くガッツポーズをしたのだった。
…晩御飯の時間が終わり、やることを片づけた真鈴は、甲板に出ていた。
数分前、お風呂から上がったので、髪がまだ軽く濡れている。
しばらくの間夜空を見上げ、ふぅ…と息をついた。
「…。」
(ここの船に乗って、日が少し経ったけど…。なんでだろ…海軍んとこにいたより、落ち着くのが早い…。)
海軍の所に来て1週間ぐらい、真鈴は警戒心むき出しで、殆ど部屋の片隅に固まっていた。
それに比べ、ローの船に乗ってからはそんなことはせず、落ち着いて日々を過ごしている。
…自分は、ココを警戒しなくても大丈夫だと、思っているのか?
ぐるぐる回想を巡り合わせていると、誰かから話しかけられた。
「…よぉ、何しているんだ?」
「‼︎」