第11章 ‘‘癒しの力”
…5分経ったが、真鈴はまだ寝られてなかった。
(こいつ…何故寝ねェ?)
…貴方が見つめているからです。
「…おい、何故寝ねェ。早く寝ろ…回復しねェぞ」
「‼︎」
ローは真鈴の額を2回撫でるようにポンポン、とたたいた。
…途端に一気に睡魔に襲われた。
(あ…なんか眠たく…。ローに触れると安心するな…やっぱり…)
だんだん瞼が重くなり、数分後、眠りについた。
ローは隣で彼女の頭を撫でながら、顔を見つめていた。
(寝た…か?)
真鈴はスースー、と小さな寝息をたてている。
…と不意に、真鈴がローに抱きついてきた。
腰に腕をまわしてきたのだ。
「⁉︎」
「んぅ…」
艶めいた声でボソリ、と唸った。
…寝ぼけているようだ。
無意識にローの腰に抱きついたらしい。
「〜っ」
ローの顔が徐々に赤くなってきた。
オマケに心臓がバクバク鳴っている。
(んぅ、って何だよ…俺の理性潰すつもりか⁉︎)
ローも一応男だ。
…欲情だってする。
(女にまともに欲情したのは…いつぶりだ…? 久々だ、こんな感情になるのは…)
「…いや……‼︎」
「⁉︎」
(寝言…か?)
「いやああっ‼︎」
「!?」
真鈴が飛び起きた。
「ど、どうした⁉︎」
「はぁ…はぁ…な、何でもない…っ」
呼吸が荒い。
「絶対何かあっただろ⁉︎ 悪夢でもみたのか⁉︎」
「…っ…‼︎」
頭を抑え、縮こまる真鈴。
「おい…‼︎」
「…嫌だ………‘‘漆黒の靄(もや)”が…っ‼︎」
「⁉︎ ‘‘漆黒の靄”⁉︎」
「…っ」
「あっ、おい⁉︎」
真鈴の中で何かが切れたようで、気を失ったようにそのまま横に倒れた。
「っ‼︎ おい⁉︎」
真鈴を揺する。
「ゔぅ…………はっ⁉︎」
目の前にローの顔がめいいっぱい映った。
「ひゃあっ⁉︎」
また飛び起きた。
…呼吸は先程と違い、安定しているが。
「な…なななな何で、覗きこんで…っ⁉︎」
「何でって…‼︎ いきなり発狂して起きたかと思えばぶっ倒れるし…‼︎ …し、心配してんだよ‼︎」
「起きた…?」
「な…⁉︎」
(え…記憶ねェのか⁉︎ あんなに苦しそうにしていたのに…‼︎)
「え…嘘、起きた? 発狂した⁉︎」
「してた‼︎」
「マジですか…」